2019年10月12日から13日にかけて東日本を襲った台風19号は、記録的な大雨をもたらし各地に深刻な爪痕を残しました。福島県を拠点とする東邦銀行も例外ではなく、激しい浸水被害によって県内の3店舗が臨時休業を余儀なくされる事態に陥っています。地域住民の生活を支える金融機関がストップすることは、復旧を目指す人々にとって大きな不安要素となるでしょう。
幸いなことに、被害を受けた店舗のうち1箇所は2019年10月17日に営業を再開させることができました。しかしながら、残る2店舗については設備の損傷が激しく、通常通りの窓口業務を取り戻すにはまだ相応の時間を要する見通しです。こうした非常事態において、被災者の頼みの綱となっているのが、東邦銀行が現場へ急行させた「移動店舗車」の存在なのです。
東日本大震災の教訓が生んだ「動く支店」の機動力
この移動店舗車は、まさに「動く支店」と呼ぶにふさわしい機能を備えています。車両の内部には銀行の窓口業務を行うスペースに加え、現金自動預け払い機、いわゆるATMが搭載されました。これにより、通帳による預金の引き出しはもちろんのこと、振り込み手続きや税金の納付といった複雑な事務処理にも柔軟に対応できる仕組みが整っています。
実はこの車両が導入された背景には、2011年に発生した東日本大震災という大きな悲劇がありました。大規模災害時に店舗が機能しなくなった際、いかにして地域の金融インフラを維持するかという課題に向き合い、同行が準備を進めてきた備えなのです。SNS上でも「泥だらけの街に緑の銀行車が見えて安心した」「通帳を失くした状況でも相談に乗ってもらえて助かった」といった感謝の声が相次いでいます。
編集者の視点から見れば、デジタル化が進む現代においても、対面で相談ができる物理的な拠点が被災地に赴く意義は極めて大きいと感じます。単なるお金の出し入れ以上に、見知った銀行員と言葉を交わすことが、被災された方々の精神的な支えや復興への活力に繋がっているのではないでしょうか。災害大国である日本において、こうした機動力のある金融サービスは、今後ますます重要性を増していくに違いありません。
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