日本中が歓喜に沸いたラグビーワールドカップ2019も、いよいよ2019年11月2日の決勝戦で感動のフィナーレを迎えます。今大会の成功を支えたのは、選手たちの熱いプレーだけではありません。実は舞台裏で、観客をスムーズに運ぶ「パーク&ライド」という画期的な仕組みが、交通渋滞を劇的に解消する立役者となっていました。
「パーク&ライド」とは、目的地から離れた駐車場に自家用車を停め、そこからバスや鉄道などの公共交通機関に乗り換えて会場へ向かう移動方式のことです。環境負荷の低減や都市部の混雑緩和を目的に欧米で普及しているこの手法が、今大会でも大きな成果を上げました。SNS上でも「予想以上にスムーズで驚いた」といった好意的な声が数多く寄せられています。
大分でのリベンジ!3万人を運んだ官民一体の輸送作戦
特に注目を集めたのが大分県です。大分スポーツ公園総合競技場では、2019年10月19日から2019年10月20日の準々決勝を含む計5試合が行われました。県は会場周辺へのマイカー乗り入れを大胆に禁止し、事前予約制の無料駐車場を設置。そこから約400台のバスをフル稼働させ、観客の約2割にあたる約3万人を見事にピストン輸送したのです。
この背景には、2018年11月に行われたサッカー日本代表戦での苦い教訓がありました。当時は記録的な大渋滞が発生し、多くのファンがキックオフに間に合わず、選手バスの到着さえ遅れるという事態に陥ったのです。今回は建設業界に工事の自粛を要請し、学校の授業時間を調整するなど、地域全体で対策を講じた結果、悲願の「渋滞ゼロ」を実現させました。
愛知県の豊田スタジアムでも、2019年10月5日の日本対サモア戦で同様の試みが実施されました。約4700人が利用したバス輸送では、試合後の混雑時でも最大待ち時間がわずか10分程度という驚異的な効率の良さを見せています。兵庫県から訪れた観客からも、待ち時間の少なさに満足する声が上がるなど、利用者側の利便性も十分に確保されていました。
2020年東京五輪へ向けて進化する都市型輸送の未来
今回のラグビーW杯での成功体験は、目前に迫る2020年東京五輪の交通戦略における大きな試金石となりました。五輪本番では、地方会場でのバス輸送に加え、都心部では「駐車場に停めて鉄道に乗り換える」という都市型パーク&ライドの導入が計画されています。大会組織委員会は、予約制駐車場の導入や運賃割引などの優遇措置も検討しているようです。
編集者としての私見ですが、こうした大規模イベントでの交通規制は、単なる混雑回避に留まらず、私たちの移動の価値観を変える転換点になると感じます。マイカーの利便性を一部制限しつつ、公共交通と連携させることで、街全体のストレスを減らすこの仕組みは、今後の観光地や地方都市のあり方に一石を投じる素晴らしいモデルケースと言えるでしょう。
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