今、20代から30代の若者を中心に、SNSを駆使して消費者と直接つながる「D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)」というビジネスモデルが爆発的な支持を集めています。この新しい波を背後で支え、人気ブランドの製造を一手に引き受けているのが、埼玉県吉川市に拠点を置くサティス製薬です。山崎智士社長は、自社を「美容分野のコングロマリット(複合企業体)」へと成長させるべく、情熱的に事業を拡大しています。
SNSでの反響を見ると、「憧れのモデルが使っているブランドが実はここで作られていたなんて」「小ロットから作れるなら自分も挑戦してみたい」といった、起業を目指す若者や美容感度の高い層からのポジティブな声が目立ちます。デジタルネイティブ世代にとって、D2Cブランドは単なる商品ではなく、価値観を共有するパートナーのような存在になっているのでしょう。
「通販」を超えたデジタルの力とアジャイル開発の衝撃
2019年11月4日、山崎社長はD2Cの躍進について、従来の通販とは一線を画す「デジタルの深さ」を指摘しました。D2CはビッグデータやAIを活用し、顧客一人ひとりのニーズを精緻に分析します。サティス製薬はこの流れに合わせ、完成度を50点から60点に抑えた状態でいち早く市場に投入し、消費者の反応を見ながら改良を繰り返す「アジャイル開発」を導入しています。
アジャイル開発とは、もともとソフトウェア開発で用いられる手法で、短期間で試作とテストを繰り返す進め方のことです。変化の激しい現代、数年かけて完璧なものを作るより、現場の声を聞きながら育てる方が理にかなっています。山崎社長は現在100万円以下で請け負っているこの開発コストを、将来的には30万円まで下げたいと語ります。これにより、個人の女性が副業感覚でブランドを立ち上げる「ロマンチックな挑戦」を後押ししようとしているのです。
「美容界のインテル」を目指し、共感でつながるパートナーシップ
サティス製薬は単なる受託メーカー(OEM)に留まりません。メンズコスメで躍進する「バルクオム」やパーソナライズシャンプーの「メデュラ」など、志を共にする企業には出資も行い、ブランド設計から共に歩んでいます。山崎社長は「新興ブランドが人々の心をつかむ過程にはワクワクする」と語り、ビジネスを超えた「共感」を重視する姿勢を鮮明にしています。
1999年に27歳で起業した山崎社長の原点は、重度のアトピーに悩む子供たちを救いたいという純粋な想いでした。2019年11月4日現在、同社は35億円の資金調達を実施し、その半分をブランド支援に投じる計画です。パソコンにおける「インテル入ってる」のように、あらゆる化粧品の裏側に同社の技術が息づく「美容界のインテル」を目指すその姿は、モノづくり日本の新しい希望に見えます。
私自身の視点としても、この「製造の民主化」は素晴らしい変化だと感じます。これまでは巨大資本を持つ企業しか参入できなかった化粧品市場が、個人の感性や熱量によって塗り替えられていく。サティス製薬が提供するのは単なる「中身」ではなく、誰もが夢を形にできる「チケット」なのかもしれません。
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