2019年12月18日、日本の睡眠事情を劇的に変えるかもしれない「スリープテック」の波がいよいよ本格的に上陸しました。スリープテックとは、ITやAIといった最先端技術を駆使して、眠りの質を科学的に改善しようとする試みのことです。オランダの世界的メーカー、フィリップスが音波によって深い眠りを導く革新的なヘッドバンドを日本で発売し、この分野への参入を表明しました。
SNS上では「4万円超えは高いけれど、これで熟睡できるなら安いもの」「脳波に合わせて音が流れるなんてSFの世界のようだ」といった驚きと期待の声が広がっています。私たちは人生の約3分の1を眠って過ごすと言われますが、その時間をテクノロジーで最適化する時代がついにやってきたのです。同社のヘッドバンドは、センサーがリアルタイムで脳波を検知し、適切なタイミングでオーディオトーンを流すことで、深い睡眠の状態を長く維持させる仕組みとなっています。
15兆円の経済損失を食い止める「眠りの働き方改革」
日本は先進国の中でも特に睡眠時間が短いとされており、米ランド研究所の試算によれば、睡眠不足による経済損失は年間で最大1380億ドル、日本円にして約15兆円にも上ります。これは国内総生産(GDP)の2.7%に相当する膨大な数字です。こうした背景から、個人の健康維持だけでなく、企業の生産性向上という観点からも、睡眠の改善は今や国家レベルの課題であるといえるでしょう。
米フィットビットもこの流れに乗り、2020年春から日本で「フィットビットプレミアム」という有料サービスを開始する予定です。これはスマートウォッチなどのウェアラブル端末、つまり身に着けて持ち歩けるIT機器から得られる心拍数などの膨大なデータを活用したものです。すでに三菱自動車やクボタなど約200社がこの試みに参加しており、企業が社員の「眠り」をサポートする動きが加速しています。
私自身の見解としては、これまで「気合」や「根性」で語られがちだった日本の労働文化において、科学的なデータに基づいて睡眠を管理する文化が浸透することは、非常に健全で喜ばしい変化だと感じます。仕事のパフォーマンスを高めるためにしっかりと休むという考え方は、現代のビジネスパーソンにとって必須のスキルになるに違いありません。
世界中で加速するスリープテック市場の爆発的成長
スリープテックの市場規模は、2025年には世界で約3兆円にまで拡大すると予測されています。この市場を牽引するのはやはりアメリカで、医療施設に行かなくても自宅で無呼吸症候群などの対策ができるセンサーの開発が進んでいます。日本国内でも、東大発ベンチャーのポップインが照明から絵本の朗読を流して入眠を促すアプリを開発するなど、ユニークなアプローチが続々と登場しているところです。
今後は、寝具や家電メーカーがベンチャー企業のセンサー技術を取り入れ、部屋の温度や枕の高さが眠りの深さに合わせて自動で変わるような未来も遠くないはずです。フィリップスも、いびき改善製品などのさらなる日本投入を検討しており、私たちの寝室は今後1、2年でハイテクな空間へと進化していくでしょう。良質な睡眠が手に入る未来は、もうすぐそこまで来ています。
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