将棋界の若き天才、藤井聡太七段の目覚ましい活躍や、レジェンド羽生善治九段が成し遂げた「永世七冠」という偉業により、今まさに空前の将棋ブームが到来しています。かつて夢中になった世代からも「また指してみたい」という声が上がっており、SNSでもプロ棋士の対局を観戦する「観る将」が急増中です。そんな熱気の中、2019年5月にオープンした「将棋カフェCOBIN」が、新たな社交場として注目を集めています。
JR高田馬場駅から徒歩10分ほど、落ち着いた通りに店を構えるこのカフェは、従来の「将棋道場」とは一線を画すオシャレな空間です。ガラス張りの入り口からは、カウンターで楽しげに談笑する人々の姿が見え、初めて訪れる人でもスッと馴染める開放的な雰囲気が漂っています。道場特有の張り詰めた空気ではなく、お気に入りのカフェでくつろぐような感覚で、誰でも気軽に将棋の世界に飛び込めるのが最大の魅力と言えるでしょう。
世代を超えた交流が生まれる、魔法の盤上コミュニケーション
料金体系は非常にシンプルで、2019年11月現在、平日は1500円、土日祝日は2000円のチャージ料にドリンク1杯が含まれています。学生なら500円引きという嬉しい配慮もあり、若い世代でも通いやすい環境が整っています。奈良翔太朗店長が目指すのは、女性や初心者でも緊張せずに立ち寄れる店づくり。実際、店内ではルールを覚えたての人から、仕事帰りの会社員、年配の方まで、年齢の壁を越えて対局を楽しんでいます。
将棋の醍醐味は、駒を並べれば初対面でもすぐに対等な関係になれることです。筆者が訪れた際も、店長さんの粋な計らいで実力の近い方と対局できました。真剣勝負が終われば、そこには共通の趣味を持つ仲間としての絆が芽生えます。戦況を振り返る「感想戦」から始まり、気づけば仕事や地元の話題で盛り上がるなど、盤を挟んだコミュニケーションは、デジタル時代だからこそ、より温かく価値のあるものに感じられます。
「感想戦」とは、対局後に指し手を振り返り、どこが悪かったのか、他にどんな良い手があったのかを検討し合う将棋特有の文化です。自分のミスを客観的に捉えることで、技術向上だけでなく相手への敬意も深まる素敵な習慣と言えます。こうしたやり取りを通じて、単なる勝敗を超えた人間関係が築けるのは、将棋ならではの魅力ですね。私自身、負けた悔しさを共有することで、次への意欲が湧いてくるのを実感しました。
プロ棋士との距離も縮まる、イベント満載の次世代カフェ
2019年11月4日の取材日には、伊藤真吾五段が一日店長を務めており、憧れのプロ棋士と直接触れ合える貴重な機会に、夜7時を過ぎる頃には全30席が満席となりました。伊藤五段も「気軽に将棋に触れられる場所が増えるのは嬉しい」と語っており、ファンとプロを繋ぐ架け橋としても機能しています。お酒を嗜みながらの対局は、まさに大人の嗜み。酔いと共に指し手が乱れるのも、こうしたカフェならではの楽しみかもしれません。
経営面では、飲食物の持ち込みを可能にするなど顧客満足度を高める一方で、客数確保が鍵となっています。そのため、ルールから学べる初心者教室や、人狼ゲームを融合させた新感覚のイベントなど、新規層を取り込む工夫が随所に凝らされています。将棋は決して敷居の高いものではなく、誰もが主役になれる知的エンターテインメントです。皆さんも、ドリンクを片手に「次の一手」を考えてみる、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
コメント