人生100年時代といわれる現代、静岡県浜松市でひときわ輝きを放つ「シニア劇団浪漫座」をご存じでしょうか。ここは、55歳以上の団員たちが「かつて諦めた夢」を再び追いかける情熱のステージです。座長を務める松島喜美子さんは、2019年11月2日現在、個性豊かなメンバーを束ねるリーダーとして、シニア世代に新たな活力を与え続けています。
2019年9月、浜松市内の公会堂では、同年12月の公演「ミニミニ☆東京オズの魔法使い」に向けた熱気あふれる稽古が行われていました。演出家の松尾交子さんが大切にしているのは、団員の歩んできた豊かな人生経験を芝居に投影することです。厳しいルールに縛られず、自由な意見交換を尊重する「緩やかさ」こそが、80代を含む団員たちの個性を最大限に引き出す秘訣といえるでしょう。
銀行員から座長へ!回り道したからこそ見つけた自分らしい表現
松島さん自身、若い頃はダンサーを夢見ていましたが、親の勧めで銀行へ就職した経緯があります。しかし、情熱の火は消えることなく、30年近くジャズダンスに打ち込んできました。55歳を過ぎ、将来への不安を感じていたときに出会ったのが、この劇団の設立話でした。パソコンを扱えるスキルの高さから白羽の矢が立ち、2010年4月の結成当初から、初代座長として組織を支えることになったのです。
座長としての松島さんのスタイルは、決して「上から目線」ではありません。人生の大先輩も多い集団の中で、彼女は自らを「小間使い」と謙遜しながら、急がずゆっくりと対話を重ねることで、強い個性を持つ団員たちを一つにまとめ上げました。演劇経験ゼロからのスタートに、ときにはもどかしさを感じることもあったそうですが、その真摯に挑戦し続ける姿勢は、周囲から極めて高い評価を得ています。
SNS上では「同世代が舞台で笑っている姿を見ると、自分も何か始めたくなる」「完璧ではないからこそ伝わる人間味に感動した」といった共感の声が広がっています。浪漫座の舞台は、歌や踊りが盛り込まれた宝塚歌劇団のような華やかさと、思わず吹き出してしまうユーモアに溢れています。観客のシニア層が、帰り道には不思議と元気になっているというのも納得のエピソードではないでしょうか。
編集者の私が見るに、松島さんの素晴らしさは「完璧を求めない勇気」を持っている点にあります。シニア世代にとって、正解をなぞるよりも「自分らしくあること」がどれほど尊いか、彼女の活動は教えてくれます。2020年に迎える創立10周年、そしてその先の遠征公演という大きな夢に向かって突き進む彼女たちの姿は、老いに対するネガティブなイメージを鮮やかに塗り替えてくれるはずです。
コメント