科学の歴史が大きく動いた瞬間を、世界中が祝福しています。2019年11月03日、アメリカのカリフォルニア州にあるNASAの施設にて、世界で最も豪華な科学賞と称される「ブレークスルー賞」の授賞式が開催されました。この賞はシリコンバレーの巨人たちが創設したもので、今回は人類史上初めてブラックホールの撮影に成功した国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」チームにその栄冠が輝いています。
今回の受賞において特筆すべきは、日本人研究者を含む総勢347名の全メンバーが共同受賞者として認められた点でしょう。賞金300万ドル、日本円にして約3億2000万円という破格の金額が全メンバーに等分されることになります。SNS上では「科学者の努力が正当に評価される素晴らしい仕組みだ」「チーム全員が報われる形に感動した」といったポジティブな反響が渦巻いており、個人の成果を超えた連帯の勝利が人々の心を打っています。
そもそもブレークスルー賞とは、GoogleやFacebookの創業者らが支援する「科学界のアカデミー賞」とも呼ばれる栄誉ある賞です。式典にはハリウッドスターも駆けつけ、科学者をセレブリティとして称える華やかな演出が施されました。チームを代表して登壇したハーバード大学のシェパード・ドールマン氏は、この快挙を「大変な名誉である」と力強く語り、会場は割れんばかりの拍手に包まれています。
世界を驚かせた「巨大望遠鏡」と日本人研究者たちの情熱
今回、彼らが成し遂げたのは、地球から5500万光年もの彼方に位置する「M87銀河」の中心にある超巨大ブラックホールの姿を捉えるという、かつては不可能と思われていた挑戦でした。ブラックホールとは、あまりに重力が強いため光さえも脱出できない天体のことで、その姿を直接見ることはできません。しかし、その周囲を回る高温のガスが放つ光を捉えることで、漆黒の「影」を浮かび上がらせることに成功したのです。
この観測を実現させたのは、世界6カ所に点在する電波望遠鏡をネットワークで結び、地球サイズの仮想的な巨大望遠鏡を作り上げるという壮大なアイデアでした。この高度な技術には、国立天文台や東北大学、広島大学といった日本の研究機関も深く関わっています。2019年04月にあのオレンジ色の輪の画像が公開された際の衝撃は、今も私たちの記憶に新しく、宇宙の神秘がまた一つ解明された瞬間でした。
国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長は、式典には欠席したものの、全員での受賞に対し「装置開発からデータ解析まで、裏方を含めた全工程のメンバーが評価されたことが何より嬉しい」と語っています。私自身、科学は一人の天才だけでなく、こうした無数の専門家の献身によって進歩するものだと強く感じます。2020年には観測対象を広げ、ガスが噴出する「ジェット」の謎にも迫る予定とのことで、宇宙探査の黄金時代はまだ始まったばかりです。
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