保育サービス業界の転換点!2019年度は「新設」から「M&A」による質と規模の両立へ

2019年11月6日に発表された「第37回サービス業調査」の結果によれば、保育サービス業界は現在、大きな変革の荒波に揉まれています。業界全体の売上高は13.5%増という堅調な数字を記録しましたが、これまでの2割近い急成長と比較すると、その勢いには落ち着きが見え始めてきました。この背景には、深刻さを増す保育士不足という構造的な課題が重くのしかかっているのです。

SNS上では「保育園が増えるのは嬉しいけれど、先生が足りなくて現場が疲弊しているのではないか」といった、サービスの質を懸念する声が多く寄せられています。実際に、2018年度の保育士の有効求人倍率は全国で2.88倍という高水準に達しました。有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、数値が高いほど企業側が人材を確保するのが難しい状況を意味しています。

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大手各社が進める戦略のシフトと企業主導型保育の台頭

こうした人材難の影響もあり、業界最大手のJPホールディングスが9.4%の増収に留まるなど、大手各社は施設の新設ペースをあえて抑制する動きを見せています。一方で、業界7位のニチイ学館は前年度比34.1%増という驚異的な伸びを記録しました。同社が注力しているのは、2016年から運用が開始された「企業主導型保育所」というモデルです。

企業主導型保育所とは、企業が従業員の働き方に合わせて設置する柔軟な認可外保育施設を指します。国の助成を受けつつ、認可施設に近い基準で運営できるため、多様な働き方を支える新しいインフラとして注目を集めてきました。待機児童数が減少傾向にある中で、単に箱を作るだけの時代は終わり、ニーズに合わせた付加価値の高いサービスを提供できるかどうかが、各社の明暗を分けていると言えるでしょう。

今後は、5位のポピンズホールディングスが2019年3月に同業他社を買収したように、M&A(合併・買収)を軸とした成長戦略が主流になると予測されます。ゼロから新しい園を作るよりも、既存の施設を統合することで、効率的な経営と保育の質の担保を両立させようという狙いです。こうした動きは、業界全体の健全な淘汰と再編を促すポジティブな変化であると私は確信しています。

保育士さんの待遇改善は、私たちが安心して子供を預けられる社会を作るための最優先事項です。各社が競い合うように労働環境の整備に乗り出す今の流れは、日本の未来を支える保育の質を底上げするために欠かせないステップとなるはずです。M&Aによる経営基盤の強化が、現場で働く人々の笑顔に直結することを切に願わずにはいられません。

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