東京五輪マラソンが札幌・大通公園発着へ!夏の北海道観光とビアガーデンに迫る光と影

2019年11月22日、東京五輪のマラソン競技について、札幌市の大通公園を発着点とするコース案が大筋で固まりました。大会組織委員会は市中心部を2周するプランを提示しており、2019年12月上旬に開催される国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で正式に示される見通しです。急転直下で決まった北海道開催に地元は沸き立っていますが、その一方で夏の観光シーズンへの影響を心配する複雑な胸中も見え隠れしています。

今回のコースは、毎年8月に実施されている「北海道マラソン」のルートをベースに設計される予定です。あえて周回コースを採用した背景には、警備体制の効率化やボランティアスタッフの負担軽減、さらには計測にかかる手間やコストを抑える狙いがあります。準備期間が残り9カ月を切るという厳しい状況下で、いかに簡素かつ確実な運営を行うかが最優先された結果といえるでしょう。

世界に目を向ければ、2012年のロンドン大会や2016年のリオデジャネイロ大会でも周回コースは導入されており、決して異例なことではありません。むしろ、交通の便が良い大通公園を拠点とすることで、観客にとっては観戦のチャンスが増えるという大きなメリットがあります。札幌の名所を選手たちが駆け抜ける姿は、国内外へ街の魅力を存分にアピールする絶好の機会となるはずです。

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宿泊業界の期待と不安、観光客の動向はどう変わる?

札幌市内のホテル業界では、五輪開催による集客効果を期待する声が根強く聞かれます。大通公園に隣接する札幌ビューホテル大通公園では、例年7月から8月にかけてほぼ満室の状態が続いています。担当者は、旅行の目的が通常の観光から五輪観戦へと変化したとしても、高い稼働率は維持できるだろうと自信をのぞかせています。世界的な祭典がもたらす経済波及効果への期待はやはり大きいようです。

しかし、一方で手放しでは喜べない慎重な見方もあります。別のホテル関係者は、多くの人が自宅でのテレビ観戦や会場での応援に集中することで、例年訪れる関東圏からの一般観光客が減少するのではないかと危惧しています。現在は大会関係者の受け入れを優先するために一時的に予約受付を停止している施設もあり、今後の需要予測の難しさが浮き彫りになっています。

SNS上でも「札幌で五輪が見られるのは嬉しいけれど、ホテルの予約が取れなくなりそう」「夏の北海道旅行を楽しみにしていたのに、混雑で断念せざるを得ないかも」といった投稿が目立ち始めています。本来なら書き入れ時であるはずの8月が、五輪という特大イベントによって通常とは異なる様相を呈することへの困惑が、旅行者と事業者の双方に広がっている様子がうかがえます。

札幌の夏の風物詩「ビアガーデン」に中止の危機?

さらに深刻なのが、100万人以上を動員する「さっぽろ大通ビアガーデン」への影響です。マラソンの発着点となる大通公園では、設営準備のために会場が長期間占有される可能性が出ています。ここで注目したいのが「福祉協賛」という仕組みです。このイベントは単なる娯楽ではなく、収益の一部を福祉団体に寄付する公益性の高い活動として長年愛されてきました。

大手ビールメーカーの担当者によれば、会場ごとに専用サイズの機材を揃えているため、場所を移せば済むという単純な問題ではありません。開催期間が短縮されれば、設営コストを回収できず赤字に陥る恐れすらあるといいます。例年、年明けの2月から準備が始まることを考えると、詳細な情報が下りてこない現在の状況は、関係者にとってまさに生殺し状態といえるのではないでしょうか。

個人的な意見を添えれば、五輪は一生に一度の好機かもしれませんが、地域に根ざした文化や伝統を犠牲にしては本末転倒だと感じます。世界が注目する舞台だからこそ、札幌が誇る「夏の日常」と「五輪の熱狂」をいかに共存させるか、行政と組織委員会の手腕が問われています。準備不足による混乱を避け、誰もが笑顔で夏を終えられるような柔軟な解決策を期待してやみません。

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