スマートフォンが一人一台普及し、家族が同じ空間にいても個々の画面に没頭してしまう現代において、驚くべき変化が起きています。かつてはテレビが担っていた「家族が集まる中心地」という役割が、今、揺らめく炎を湛える「暖炉」へと移り変わろうとしているのです。2019年11月25日現在、都心の住宅展示場では暖炉を囲むライフスタイルが世代を問わず熱い視線を浴びています。
SNSでも「炎を見ているだけで癒やされる」「QOL(生活の質)が爆上がりする」といった投稿が相次ぎ、デジタル疲れを感じる人々にとっての救世主となっているようです。大和ハウス工業が東京都品川区で展開するモデルハウスでは、森の中にいるような空間の中央に暖炉を配置し、多くの来場者を魅了しています。利便性ばかりを追求してきた都会暮らしの中で、私たちは本能的に「火」という自然の癒やしを求めているのかもしれません。
工事不要でエコロジー!バイオエタノール暖炉の衝撃
暖炉と聞くと、煙突工事や薪の調達、煤(すす)の掃除といった高いハードルを連想される方が多いでしょう。しかし、その常識を覆したのが「バイオエタノール暖炉」の登場です。これはトウモロコシやサトウキビといった植物資源を原料とする「バイオマス燃料」を使用する画期的なインテリアです。燃焼しても有害物質が出ないため、煙突を設置する必要がなく、マンションでも手軽に導入できるのが最大の特徴といえます。
特に人気の「エコスマートファイヤー」は、2019年には年間3000台に迫る勢いで売れており、市場は毎年20%もの成長を続けています。耐熱ガラスで覆われた安全設計は、小さなお子様がいる家庭でも安心して導入できる決め手となっているようです。仕事から帰宅し、カチッと火を灯すだけで静寂な時間が流れる。そんな贅沢が、現代のビジネスパーソンの心を掴んで離さないのでしょう。
災害への備えと「ヒュッゲ」という新しい豊かさ
北欧には、デンマーク語で「ヒュッゲ(Hygge)」という言葉があります。これは「居心地がいい時間や空間」を指す素敵な概念ですが、その中心には常に暖炉の火がありました。かつての日本に囲炉裏があったように、火を囲んで語り合う文化は、人間の根源的な喜びを呼び覚ましてくれるはずです。編集部としても、このアナログな回帰は、効率化が進む社会に対する心の防衛本能ではないかと感じています。
また、昨今の相次ぐ自然災害を受け、防災の観点からも暖炉が見直されています。電気が止まっても暖を取り、調理ができる薪ストーブは、究極のライフラインとなり得るからです。より手軽に楽しみたい層には、ニトリなどで販売されているLED式の暖炉型ファンヒーターも人気を博しています。自分に合った形で「火のある暮らし」を取り入れることが、これからの令和時代を豊かに生きる鍵になるでしょう。
コメント