農業用ハウス向け温風暖房機で国内トップクラスのシェアを誇るネポン株式会社が、2019年11月09日に最新の決算動向を明らかにしました。取締役の捧渡氏は、足元の業績が消費税増税前の駆け込み需要によって、前年の同時期に比べて赤字幅が縮小したことを報告しています。
一般的に「駆け込み需要」とは、増税などの負担増を前に消費者が購入を急ぐ現象を指しますが、同社においてもこの特需が上期の数字を押し上げる形となりました。しかし、捧氏の表情は決して晴れやかなものではありません。なぜなら、本来の需要期である下期にはその反動による買い控えが予想されるからです。
SNS上では「農家の経営は天候に左右されるから、増税の影響はかなり痛手のはず」といった同情の声や、「復旧作業に追われる中で暖房機の買い替えまで手が回るのか」といった懸念が広がっています。こうした市場の不安を反映するかのように、通期での赤字拡大を危惧する見方も強まっているのが現状でしょう。
相次ぐ台風被害と複雑な「復興需要」のジレンマ
2019年は相次いで大型の台風が日本列島を直撃し、各地の農園に深刻な被害をもたらしました。農業用ハウスが倒壊すれば、当然ながら内部の暖房機も刷新する必要が生じます。これがいわゆる「復興需要」として一時的な売り上げ増加に寄与する可能性は否定できません。
しかし、捧氏はこうした需要に対しても「手放しでは喜べない」と、苦渋の決断を迫られる複雑な胸中を吐露しています。他者の苦境が自社の利益に繋がるという構造は、地域密着で農家を支えてきた企業として、倫理的にも経営的にも非常に重い課題を突きつけているのです。
私は、こうした企業の姿勢こそが信頼の証だと考えます。目先の利益に走らず、生産者の痛みに寄り添う姿勢は、長期的なブランド力の構築に欠かせません。一方で、赤字予想という厳しい現実をどう打破し、次世代のスマート農業へと舵を切っていくのか、同社の手腕が今まさに問われています。
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