台風19号から1カ月。都内に残る深刻な爪痕と、苦渋の決断を下した現場のいま

記録的な暴風雨が首都圏を襲った台風19号の直撃から、2019年11月12日でちょうど1カ月が経過しました。懸命な復旧作業が官民一体となって進められる一方で、その傷跡はあまりにも深く、私たちの愛した風景が失われようとしています。SNS上では、変わり果てた河川敷や街の様子にショックを受ける声が今も絶えません。

特にゴルフファンへ衝撃を与えたのは、荒川の河川敷に位置する「新東京都民ゴルフ場」の廃業ニュースでしょう。23区内では希少な存在であり、リーズナブルな価格設定で親しまれてきたこの場所は、敷地が完全に冠水する甚大な被害に見舞われました。再建に向けた模索が続きましたが、資金面の壁は厚く、2019年12月31日をもってその歴史に幕を閉じることが決まりました。

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教育・医療現場を襲った濁流の脅威

被害はレジャー施設に留まりません。多摩川付近にある東京都市大学の世田谷キャンパスでは、多くの建物で授業が再開されたものの、図書館は依然として立ち入りが制限されています。蔵書の約3割にあたる約8万3千冊が浸水し、中には廃棄を免れない貴重な資料も含まれています。知識の宝庫が失われることは、教育・研究の観点からも計り知れない損失だと言えるでしょう。

また、同じく多摩川沿いの世田谷記念病院も地下と1階が浸水し、患者の転院を余儀なくされました。ここで「浸水被害」とは、単に水に浸かるだけでなく、汚泥や雑菌が入り込むことを指します。医療現場において衛生環境の再構築は最優先事項であり、診療再開にはさらに2カ月から3カ月を要する見込みです。地域医療の要が一時的に機能停止している現状は、住民の不安を大きくさせています。

観光地の苦境と、復興への一筋の光

多摩地域の観光地も、かき入れ時である紅葉シーズンに大きな打撃を受けています。青梅市の御岳渓谷では遊歩道が破損し、御岳山の登山道も一部が通行止めのままです。御岳登山鉄道の10月の利用者が前年比で半減したという数字は、台風の凄まじい影響を物語っています。それでも「中止はさらなるダメージになる」と、2019年11月9日から紅葉のライトアップを決行した現地の判断には、復興への強い意志を感じます。

道路が崩落し、孤立状態にあった日の出町の大久野地区では、都道が復旧して車の通行が可能になるなど、明るいニュースも届き始めています。主要観光施設の「つるつる温泉」も2019年11月9日に営業を再開させました。しかし、奥多摩町などでは依然として不自由な生活を強いられている住民も多く、完全復旧への道のりは決して平坦ではありません。

編集者として感じるのは、日常がいかに脆いかという現実です。一瞬にして思い出の場所や学びの場が奪われる悲しみは計り知れません。私たちはこの「爪痕」を忘れることなく、被災した施設や地域を訪れ、消費を通じて支援を続けることが、再生への大きな一歩になると確信しています。一日も早く、多摩の美しい自然と活気が完全に取り戻されることを願ってやみません。

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