2019年11月21日、秋の気配が深まる三重県は、特別な熱気に包まれました。天皇、皇后両陛下が即位に伴う一連の儀式を無事に終えられたことを報告するため、伊勢の地へと降り立たれたのです。2泊3日の予定で組まれたこの行幸啓は、国民にとって両陛下の歩みを改めて実感する大切な機会となりました。
両陛下は2019年11月22日に外宮(げくう)である豊受大神宮を、翌23日には内宮(ないくう)の皇大神宮をそれぞれ参拝されます。これは「神宮に親謁(しんえつ)の儀」と呼ばれる極めて重要な儀式です。親謁とは、天皇陛下が自ら神前へと赴き、拝礼することを指す格調高い言葉として知られています。
今回の参拝の目的は、国家の安寧を願う「即位礼」や、新天皇がその年収穫された新穀を神に供える「大嘗祭(だいじょうさい)」という大儀が滞りなく済んだことを、皇祖神に伝えることにあります。伝統を重んじる日本文化の真髄が、ここ伊勢の地で一つの節目を迎えようとしているのでしょう。
沿道には、一目お姿を拝見しようと多くの人々が詰めかけ、SNS上でも「両陛下の穏やかな笑顔に癒やされた」「歴史的な瞬間に立ち会えて胸がいっぱい」といった感動の声が溢れています。陛下の側近が、皇位の証とされる「剣」と「璽(じ=曲玉)」を捧げ持つ姿も、人々に深い感銘を与えました。
これらは「三種の神器」のうちの二つであり、天皇陛下が移動される際に伴われる「剣璽動座(けんじどうざ)」という古式ゆかしい光景です。現代においてこれほど神秘的かつ厳かな儀礼を目の当たりにできるのは、世界広しといえど日本だけであり、私たちの誇るべき精神文化ではないでしょうか。
両陛下は内宮に設けられた宿泊所である「行在所(あんざいしょ)」に滞在されます。日々お忙しく公務に励まれる中で、静寂に包まれた神域にて、これまでの歩みを振り返られる穏やかな夜を過ごされることを願ってやみません。三重の地から、新しい時代の幕開けが力強く発信されています。
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