鳥取県の玄関口である境港と、韓国の東海、そしてロシアのウラジオストクを繋いできた海の架け橋に、大きな転機が訪れています。運航を担う韓国の「DBSクルーズフェリー」が、2019年11月28日から2020年2月末日までの期間、全便を運休することを決定しました。物流の要である貨物輸送は順調に推移していたものの、悪化の一途をたどる日韓情勢が、旅客数の激減という形で大きな影を落としています。
今回の事態の背景には、旅客の9割以上を占めていた韓国人観光客の急激な減少があります。2009年6月の就航以来、この「貨客船(かかくせん)」、つまり貨物と乗客を同時に運ぶ大型船は、地域経済に多大な貢献を果たしてきました。しかし、2018年には年間2万7815人を数えた利用客も、2019年7月を境に激減。10月の実績はわずか323人と、前年同月の2091人と比較して約85%も落ち込む深刻な状況に陥ったのです。
地域の期待を背負った航路の危機と再開への課題
SNS上では「山陰地方から海外へ気軽に行ける貴重な手段だったのに」「日韓の政治的な問題が、一般市民の交流や物流にまで影響を及ぼすのは悲しい」といった惜しむ声が広がっています。単なる移動手段ではなく、文化交流の象徴でもあっただけに、その喪失感は計り知れません。DBSクルーズフェリーの担当者も、2020年3月以降の運航再開については明言を避けており、先行き不透明な状況が続いています。
鳥取県はこれまで、運航経費の一部を補助金として支援するなど、官民一体となってこの航路を守り続けてきました。それだけに、2019年11月14日に発表された平井伸治知事の「大変残念である」というコメントには、痛切な思いが込められています。県としては今後も運航継続に向けた働きかけを強め、再び船が境港に入港できるような環境を整えていく方針ですが、情勢の安定化が最優先課題となるでしょう。
筆者の個人的な見解としては、政治的な対立が経済や民間交流のライフラインを分断してしまう現状は、非常に危ういものだと感じます。特に地方都市にとって、国際定期航路は世界と繋がるための生命線です。冷え切った関係を修復するには時間がかかるかもしれませんが、物流という確固たる需要がある以上、双方が歩み寄り、一日も早く「イースタンドリーム号」が再び日本海を渡る日が来ることを願ってやみません。
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