徳島から百貨店が消える?そごう徳島店が2020年8月に閉店へ。加速する駅前の空洞化と地方都市の未来

徳島県民にとって親しみ深い「県都の顔」が、大きな転換点を迎えようとしています。セブン&アイ・ホールディングスは、徳島市にある唯一の百貨店「そごう徳島店」を、2020年08月31日をもって営業終了することを正式に発表いたしました。

JR徳島駅前という絶好のロケーションにありながら、顧客の減少に歯止めがかからず、2019年02月期まで12期連続で減収という厳しい状況が続いていたのです。今回の決断により、地域の象徴ともいえる大型商業施設が中心市街地から姿を消すことになります。

SNS上では「子供の頃の思い出が詰まった場所なのに」「デパートがない県になるなんて信じられない」といった悲しみや困惑の声が溢れています。単なる一店舗の閉店に留まらず、徳島という街のアイデンティティが揺らぐような、ショッキングなニュースとして受け止められているようです。

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華々しい歴史と「ストロー現象」の影

そごう徳島店が誕生したのは、今から36年以上も遡る1983年10月01日のことでした。当時は東新町商店街から駅前へと人の流れを一変させるほどの勢いがあり、1993年には年間売上高444億円という輝かしいピークを記録しています。

しかし、1998年の明石海峡大橋の開通が大きな転機となりました。これにより、神戸や大阪といった関西の大都市圏へ車で約2時間という手軽さで移動できるようになったのです。その結果、本来地元で消費されるべき購買力が大都市に吸い上げられる「ストロー現象」が加速しました。

この現象は、交通網の整備が皮肉にも地方の商業を衰退させるという難しい課題を突きつけています。2019年02月期の売上高は128億円まで落ち込み、最盛期の3割以下にまで低迷した背景には、こうしたインフラ整備による消費行動の変化が色濃く反映されているのでしょう。

郊外型シフトと巻き返しの限界

徳島県は全国でも有数の自動車保有率を誇る「車社会」であることも、駅前百貨店には逆風となりました。広大な駐車場を備えた郊外型ショッピングモールの台頭により、わざわざ駅前まで足を運ぶ動機が薄れてしまったことは否定できません。

店舗側も手をこまねいていたわけではなく、2010年には雑貨の「ロフト」、2011年には「ユニクロ」を導入するなど、集客力の高いテナントを誘致して構造改革を試みました。しかし、ライフスタイルの変化という大きな時代の荒波を押し戻すには至らなかったのが実情です。

個人的な見解を述べさせていただくなら、百貨店というビジネスモデル自体が、現代の多様な消費ニーズや「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する層と乖離し始めているのかもしれません。地域の誇りだけでは維持できない、経済の冷徹な現実がここにはあります。

これからの徳島駅前はどうなる?

閉店に伴う地域経済への影響は甚大です。そごう徳島店が入居するアミコビルの管理運営を行う第三セクター「徳島都市開発」にとっては、核テナント(ビルの中心となる主要な店舗)の離脱により、早急な後継テナントの確保という重い課題が突きつけられています。

徳島県の飯泉嘉門知事や徳島市の遠藤彰良市長も、地域雇用の維持や経済の停滞を危惧するコメントを発表しました。2020年08月末で契約終了となる従業員への再就職支援など、行政と民間が一体となったセーフティネットの構築が急務となるでしょう。

「駅前の空洞化」を食い止めるには、従来の百貨店に代わる、新しい時代の「集いの場」をどう定義するかが鍵を握ります。歴史ある店舗の幕引きは寂しいものですが、これを機に徳島の街がどのように再定義され、再生していくのか、私たちは静かに見守り、支えていく必要があります。

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