タイの地で熱い戦いの火蓋が切って落とされたサッカーのU-23アジア選手権。東京五輪を控える若き日本代表チームが、2020年01月10日にサウジアラビアとの初戦を迎えました。結果は1対2での手痛い黒星発進となり、ファンにとっては波乱の幕開けとなっています。
試合が動いたのは、誰もがドロー決着を確信し始めていた後半88分のことです。最終ラインでの何気ないパス回しから、予期せぬ悲劇が生まれました。ディフェンダー同士の距離感が生んだ、ほんのわずかなボールのズレが勝負の命運を分ける結果となったのです。
古賀太陽選手から岡崎慎選手へ向けたバックパスの軌道が、意図せず横へと逸れていきました。この微妙な変化に対し、背後のゴールキーパーへのパスと思い込んだ岡崎選手は一瞬だけ足を止めてしまいます。サッカーにおけるディフェンスラインでのこうしたミスは、命取りになりかねません。
この隙を見逃さなかったサウジアラビアのフォワードにボールを奪われ、慌てて追いかけた岡崎選手がエリア内で相手を倒してしまいました。結果として相手にペナルティキック(PK)を献上することになり、名手であるゴールキーパーの大迫敬介選手もこれを防ぐことはできませんでした。
ボーンヘッド、つまり野球やサッカーなどのスポーツにおいて「信じられないような初歩的な判断ミス」を犯してしまった選手たちは、試合終了後に深くうなだれました。自身の責任を痛感し、ピッチへ崩れ落ちる姿からは、国際大会という大舞台の重圧が痛いほどに伝わってきます。
SNS上でもこの失点シーンに対して「あまりにももったいない」「連係不足が露呈した」といった厳しい声が上がる一方で、「まだ初戦が終わったばかりだから切り替えて次に向かってほしい」という、若い選手たちの背中を押すような温かい激励のコメントも数多く見られました。
森保監督のマネジメントと次戦への明確なアプローチ
重苦しい雰囲気に包まれたロッカールームでしたが、森保一監督は選手を厳しく責め立てるのではなく、むしろ「勝てる内容を見せてくれた」と労いの言葉をかけました。これは、短期決戦のグループステージにおいて、チームの士気を落とさないための賢明な判断だと言えるでしょう。
しかし、東京五輪でのメダル獲得を見据えるならば、今回の敗戦から目を背けるわけにはいきません。サウジアラビアの素早いカウンターアタックに対する守備の備えや、相手の脅威となるような前線への仕掛けなど、攻守の両面において組織としての戦術的な連動性が不足していました。
筆者の視点としては、ミスそのものよりも、チーム全体としてリスクを恐れて積極的な縦パスを打ち込めなかった「冒険心の欠如」こそが大きな課題であると感じます。安全な横パスに終始した結果として相手のプレスを呼び込み、あの痛恨のミスが誘発されたのではないでしょうか。
1次リーグ突破に向けて、もう日本代表に足踏みをしている猶予は残されていません。忘れてしまいたいほどの悔しい敗戦ですが、これを良質な薬に変えられるかどうかが問われています。次戦で見せるであろう、日本の若きサムライたちの猛省と大いなる覚醒に期待したいところです。
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