日本を代表する最高学府である東京大学と京都大学が、国内で最も早く経済学部を設立してから、2019年で記念すべき100周年を迎えました。長い歴史を誇る両校ですが、現在は世界的な大学間競争という荒波のただ中にいます。
英教育専門誌の調査による2019年の世界大学ランキングでは、東大が36位、京大が65位に沈んでおり、経済学分野においても米マサチューセッツ工科大学などの欧米勢に差をつけられています。この現状に、両校はかつてない危機感を募らせているのです。
SNS上では「学問の自由と国際競争力の両立は難しい」「日本の給与体系では優秀な研究者が海外へ流出してしまう」といった懸念の声が目立ちます。こうした世論に応えるかのように、両大学は抜本的な構造改革へと舵を切り始めました。
東大が挑む「頭脳流出」阻止と破格の給与体系
東京大学は、世界トップレベルの研究者を確保するために「人事」の常識を打ち破ろうとしています。2019年9月には米スタンフォード大学から星岳雄教授を招き入れ、海外移籍した教授を兼務させるなど、貴重な「知」を逃さない体制を構築中です。
さらに、2019年4月には特に優れた業績を持つ神取道宏教授を「特別教授」に任命しました。これにより、通常65歳とされる定年を大幅に超え、最長75歳まで研究に専念できる環境が整ったことは、アカデミアの世界に大きな衝撃を与えています。
注目すべきは、渡辺努経済学部長が示唆した「米国型」の給与体系への移行でしょう。寄付金を活用して教員間の給与格差を認め、高額な年俸で若手研究者を呼び戻す狙いです。これは、横並びだった日本の大学教育における大きな転換点と言えます。
京大が進める「理系入試」と伝統のジレンマ
一方の京都大学は、入試制度やカリキュラムの抜本的な見直しで独自色を打ち出しています。2009年度から導入された「理系入試」は、数学的な素養を持つ学生を経済学のフィールドへ誘い込み、全体のレベルを底上げすることに成功しました。
現在は、膨大なデータから価値を導き出す「データサイエンス」教育の強化も検討されています。依田高典教授は10年前からの改革に手応えを感じていますが、一方で京大伝統の「自学自習」の精神と、体系的な教育制度の板挟みに悩む声も聞かれます。
かつてはマルクス経済学と近代経済学が拮抗していた東大も、現在は理論と実証を柱とする総合的な学問へと進化を遂げました。経済学とは、冷徹な分析と温かい視野を両立させる、未来を切り拓くための強力な武器であると私は確信しています。
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