アジアからアフリカにかけて、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」が猛威を振るっています。この勢力拡大に待ったをかけるべく、2019年11月にアメリカ、日本、オーストラリアの3カ国が団結し、画期的な新構想を発表しました。その名も「ブルー・ドット・ネットワーク(BDN)」です。
この構想は、いわば「インフラ版のミシュランガイド」と呼ぶべきものです。新興国での道路や港湾といったインフラ開発計画を中立的な立場で審査し、透明性や環境への配慮、雇用の創出といった厳しい基準をクリアした案件にのみ、信頼の証である「お墨付き」の認証を与えます。
SNS上では「ようやく中国の強引な投資に対抗する具体的な策が出てきた」「格付けがあることで、途上国も安心して投資を選べるようになる」といった期待の声が上がっています。まさに、質の高いインフラ開発を世界標準にしようとする、民主主義国家による反撃の狼煙と言えるでしょう。
「債務のワナ」という名の恐怖を払拭できるか
なぜ今、これほどまでに厳格な格付けが必要とされているのでしょうか。その背景には、中国が用いる「債務のワナ」と呼ばれる手法への強い警戒感があります。これは、返済能力を超えた巨額の融資を新興国に行い、返済が滞った際にそのインフラの運営権を長期間奪い取るというものです。
実際にスリランカのハンバントタ港では、負債を免除する代わりに99年間もの運営権を中国に譲渡するという衝撃的な事態が起きました。こうした「借金漬け」による実質的な支配は、現地の汚職を助長し、自国の労働者や資材ばかりを使う中国の独占的な姿勢と相まって、国際的な非難を浴びています。
BDNが浸透すれば、認証のない不透明なプロジェクトは、投資家からリスクが高いと判断され、資金調達の金利が上昇します。結果として、強引な手法による問題案件は市場から淘汰されることになるはずです。私は、この仕組みこそが開発途上国の自立を真に助ける「健全なブレーキ」になると確信しています。
インド太平洋の安定に向けた米日豪の覚悟
今回の発表は、2019年11月初旬にバンコクで開催された官民会議で行われましたが、実はかなり急ピッチで準備されたものです。トランプ大統領のASEAN関連会議欠席による「アジア軽視」の懸念を払拭し、日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想を具体化させる狙いがありました。
オーストラリアも2019年07月に独自の融資枠組みを創設しており、日本も「質の高いインフラ」を旗印に民間資金の活用を強化しています。BDNはこれら各国の動きを束ねる司令塔の役割を果たします。単なる中国への嫌がらせではなく、国際社会のルールを守るための正当な枠組みなのです。
ただし、日本としては「是々非々」の立場を崩していません。理想は中国の機関すらも取り込んだ包摂的な仕組みですが、米中の対立が激化する中で、この「格付け」が分断の道具にならないか注視する必要があります。私たちが目指すべきは、誰もが公平に発展を享受できる未来の構築ではないでしょうか。
コメント