瀬戸内海に新星誕生!災害支援もこなす石崎汽船の新型フェリー「旭洋丸」が2019年10月11日に就航

愛媛県松山市に拠点を置く石崎汽船が、松山と広島、呉を結ぶ航路に待望の新造フェリー「旭洋丸(きょくようまる)」を導入しました。2019年10月11日に就航したこの船は、同社にとって実に約30年ぶりとなる新造船です。広島県尾道市の内海造船瀬戸田工場で建造されたこの船は、総工費約13億円を投じて完成しました。全長は約63メートル、総トン数は約875トンに及び、乗用車35台を積載できる堂々たる体躯を誇っています。

今回の新造船における最大の特徴は、単なる移動手段に留まらない「動くライフライン」としての機能です。2018年に西日本を襲った豪雨災害では、鉄道や道路が寸断される中でフェリーが貴重な代替輸送手段として活躍しました。その教訓を活かし、新型「旭洋丸」には災害時、陸上へ水や電力を供給できる画期的な設備が整っています。SNS上でも「船が発電機や給水車の代わりになるなんて心強い」と、その防災機能に大きな期待が寄せられています。

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インバウンド需要を見据えた贅沢な船内空間

船内環境も劇的な進化を遂げました。あえて旅客定員を従来より25%減らした300人に設定することで、一人ひとりの客席スペースにゆとりを持たせています。これは、混雑を避けてゆったりと瀬戸内海の多島美を楽しみたいという、近年の観光ニーズを反映した英断と言えるでしょう。また、急増する訪日外国人客(インバウンド)に対応するため、船内の案内表示は4カ国語で表記されており、誰もが安心して利用できるユニバーサルな設計が施されています。

専門用語として「インバウンド」という言葉が出てきましたが、これは海外から日本を訪れる観光客のことを指します。現在、広島を訪れる外国人は年間1万人を超えて増加傾向にあり、石崎汽船の清水一郎社長も「美しい景色を楽しみながら、ぜひ松山まで足を延ばしてほしい」と熱い期待を寄せています。単なる移動の時間そのものが、贅沢なクルージング体験へと昇華されているのです。この戦略的な空間作りは、今後の地域観光を支える鍵になるに違いありません。

驚異の供給能力!街を救う「動く発電・給水所」

災害対応能力を具体的に見ていくと、そのスペックの高さに驚かされます。断水が発生した際には、給水車42台分に相当する膨大な量の水を陸上へ送ることが可能です。さらに、停電時を想定した発電機も備わっており、一般家庭約60世帯分の電力を供給する能力を秘めています。海からエネルギーと命の水を届けるという発想は、四方を海に囲まれた日本において、これからの船舶が担うべき新しいスタンダードを示しているのではないでしょうか。

石崎汽船では、2020年夏にもう一隻の主力船「翔洋丸」を新造船へ置き換える計画を進めています。共同運航を行う瀬戸内海汽船も新船の導入を進めており、間もなく全4隻の刷新が完了する予定です。交通インフラの近代化は、地域の安全性と観光の魅力を同時に引き上げる最高の投資です。災害への備えを「付加価値」として組み込んだこの新型フェリーが、瀬戸内海の未来を明るく照らす存在になることは間違いないでしょう。

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