私たちの体はどうして太ったり、痩せたりするのでしょうか。その謎を解き明かす画期的な研究成果が、2019年11月21日に発表されました。東邦大学の船戸弘正教授と、睡眠研究の第一人者として知られる筑波大学の柳沢正史教授らによる共同研究チームが、脳内の特定の分子が体重管理に深く関わっていることを突き止めたのです。
今回注目されたのは「オレキシン」という物質です。これは脳の視床下部という場所で作られる神経伝達物質で、私たちが起きている状態を維持したり、食欲をコントロールしたりする司令塔のような役割を担っています。これまでは主に睡眠への影響が注目されてきましたが、実はエネルギー代謝にも大きな影響を与えていることが分かってきました。
研究チームは、このオレキシンを作る神経を持たないマウスを用いて、食事や運動と体重変化の関係を詳細に観察しました。通常、健康なマウスは高脂肪な食事を摂っても、十分に運動できる環境であれば極端に太ることはありません。しかし、オレキシンを欠損したマウスは、運動をしているにもかかわらず、みるみるうちに体重が増加してしまったのです。
さらに興味深いことに、オレキシンの情報を受け取る「受容体」についても調査が行われました。受容体とは、特定の物質を受け取って細胞に命令を伝える「鍵穴」のような存在です。2種類の受容体をそれぞれ調べたところ、一方は代謝を悪化させ、もう一方は食事の内容に関わらず体重を維持する働きが見られましたが、どちらもオレキシンそのものが欠如した時ほどの劇的な変化はありませんでした。
肥満治療の未来を切り拓くオレキシンの可能性
この発見に対し、SNSでは「運動しても痩せない理由が脳にあるかもしれないなんて驚き」「ダイエットの科学的なアプローチが変わるのでは」といった期待の声が数多く上がっています。根性論ではなく、脳のメカニズムを調整することで健康を維持できる時代の足音が聞こえてくるかのようです。
私自身の見解としても、この研究は現代社会の肥満問題に対する非常に強力な武器になると確信しています。これまでのダイエット法は摂取カロリーと消費カロリーのバランスばかりが重視されてきましたが、脳内のスイッチ一つで脂肪燃焼の効率が変わるのであれば、苦しい食事制限を必要としない治療法が生まれる可能性も否定できません。
研究チームは、この仕組みをさらに深掘りすることで、将来的に肥満を予防したり治療したりする新しい薬の開発につなげたいと考えています。2019年11月21日の発表を機に、医学界では「脳と代謝」の結びつきへの関心がより一層高まるでしょう。健康的な体づくりにおいて、私たちの脳が果たす役割からは目が離せません。
コメント