現在の為替市場では、円とドルのパワーバランスが驚くほど均衡しており、まるで時計の針が止まったかのような静かな展開が続いています。2019年11月26日時点のデータによれば、今月の月間値幅はわずか1円60銭にとどまっているのです。
この数字は、2019年に入ってからの最小記録を塗り替える可能性が極めて高く、市場関係者の間でも大きな話題となっています。これほどまでに値動きが限定的になるのは、実に2014年6月以来の出来事であり、異例の事態と言えるでしょう。
2019年11月26日の東京市場を振り返ると、円相場は1ドル=108円台後半から109円台前半という非常に狭いレンジで推移しました。日経平均株価が年初来高値を更新したことで、投資家の心理がポジティブに傾き、円売りの流れがわずかに見られました。
SNS上では「動かなすぎてトレードする隙がない」「凪の状態が続きすぎて不気味」といった困惑の声が広がっています。米中貿易交渉の進展期待や米株の最高値更新といった、本来なら相場を大きく動かすはずの材料も、今回は決定打に欠けているようです。
なぜ円相場は「凪」の状態に陥ったのか
今月の円相場の足跡を辿ると、11月1日に記録した107円89銭が最高値、11月7日の109円49銭が最安値となっています。専門家は、米連邦準備理事会(FRB)による利下げがいったん打ち止めになったとの見方が、市場の共通認識(コンセンサス)となったことを指摘します。
為替相場は、国同士の「金利の差」に強く影響を受けます。現在はアメリカの金利が安定しているため、日米の金利差に連動しやすい円相場も、結果として動きが封じられているのです。8月には1ヶ月で5円近くも変動したことを考えると、現在の停滞感は際立ちます。
私個人の見解としては、この異常なまでの静けさは、次なる大きな嵐の前の静けさではないかと感じています。短期的な利益を狙う投機筋(大きな資金を動かして売買益を狙う投資家グループ)が円の取引から離れていることも、膠着を加速させる一因です。
しかし、この「眠れる相場」も12月には目を覚ますかもしれません。米企業が年末の決算に向けて本国へ資金を戻す「リパトリ(資金還流)」の動きが強まれば、米中協議の進展期待と相まって、一気に円安方向へ突き抜けるシナリオも十分に考えられます。
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