2019年11月27日現在、世界経済の裏側で静かに、しかし確実に膨れ上がっている巨大な火種があります。それは、とどまることを知らない「企業債務」の増大です。かつてない規模で膨らむ借金の背景には、先進各国が足並みを揃えるように続けている、歴史的な低金利政策の長期化が深く関わっています。
金利が低いということは、企業にとってはお金を借りるコストが極めて安い状態を意味します。行き場を失った膨大なマネーは、わずかでも高い利益を求めて、本来なら手を出さないようなハイリスクな投資先へと流れ込み始めました。SNS上でも「バブル再来ではないか」と、現状を危惧する声が日に日に高まりを見せています。
米国を筆頭に加速する債務膨張の正体
特に深刻な状況にあるのが米国です。現地の企業債務は記録的な高水準に達しており、国際通貨基金(IMF)も最新の報告書で、これが国際金融システムを揺るがす大きな不安定要因になると警鐘を鳴らしました。今のところは即座にパニックが起きるほどではありませんが、潜在的なリスクは水面下で確実に肥大化しているのです。
ここで言う「企業債務」とは、会社が事業のために発行する社債や銀行からの借り入れを指します。健全な経済では、この資金が新しい工場を建てたり、新技術を開発したりする「設備投資」に使われます。しかし、今のマネーの流れは少し毛色が異なります。せっかく調達した巨額の資金が、自社の株を買い戻す「自社株買い」や他社を飲み込むM&Aに充てられているのです。
自社株買いとは、企業が市場に流通している自らの株式を買い戻すことで、一株あたりの価値を高める手法です。これにより株価は上昇しやすくなりますが、裏を返せば、実力以上の評価を無理やり作り出す「マネーゲーム」の側面も否めません。私は、こうした本業の成長を伴わない資産膨張こそが、将来の脆さを生んでいると感じてやみません。
日本も他人事ではない?忍び寄るリスクの影
本来、行き過ぎた投資にブレーキをかけるべき中央銀行も、政治的な圧力により身動きが取れなくなっています。いわゆる「ポピュリズム」の影響により、景気対策としての追加緩和を求める声が強く、中立的な立場での舵取りが困難な状況です。短期的な景気維持と引き換えに、私たちは市場の脆弱性という大きなツケを払わされているのではないでしょうか。
2019年11月現在の日本に目を向けると、世界的な傾向に比べれば企業債務の拡大は緩やかです。しかし、不動産融資への偏りや、大企業による活発な社債発行など、決して楽観視できる状況ではありません。長らく続いてきた企業の「金余り」状態も、負債の増加によって徐々に変化の兆しを見せ始めています。
世界は今、経済成長を止めることなく、いかにして過剰なリスクを抑え込むかという深刻なジレンマに直面しています。どこか一つの国で危機が表面化すれば、グローバル化した現代社会では瞬く間に連鎖が広がるでしょう。私たちはこの「膨張する借金」がもたらす未来を、今こそ冷静に見つめ直す必要があるはずです。
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