【日本のバブル遺産】中古ダイヤが世界へ流出!?中国・インドのバイヤーが熱視線を送る「眠れる宝石」の再誕

かつて日本中が熱狂に包まれたバブル時代。あの頃、日本人がこぞって買い集めた眩いばかりのダイヤモンドが、今ふたたび世界中から熱い注目を集めています。2019年11月18日現在の宝飾品市場では、日本国内に「タンスの肥やし」として眠っていたダイヤたちが、次々と新興国へと旅立っているのです。

東京・御徒町の雑居ビルでは、2019年10月9日に熱気あふれるオークションが開催されました。競売人の威勢の良い声とともに、2.5カラットもの巨大なダイヤ付き指輪が登場すると、会場の空気は一変します。飛び交うのは中国語やヒンディー語。数秒ごとに価格が跳ね上がる光景は、まさに戦場そのものと言えるでしょう。

SNS上でも「親が持っていた古い指輪が意外な高値で売れた」「バブルの遺産が海外へ行くのは少し寂しいけれど、誰かの手に渡って輝くなら嬉しい」といった声が上がっています。日本の家庭に眠る宝飾品の価値が、国境を越えたビジネスチャンスとして再認識されている様子がうかがえますね。

スポンサーリンク

なぜ今、日本の中古ダイヤが世界を席巻するのか

驚くべきことに、こうしたオークションに参加する業者の約4割が外国人バイヤーです。わずか1年でその割合は倍増しました。バイヤーたちが口を揃えるのは、日本のダイヤの「質の高さ」と「価格の安さ」です。バブル期に世界中から一級品を買い集めた日本の在庫は、世界的に見ても極めて希少なコレクションなのです。

ここで注目すべきは、インドや中国のバイヤーの手腕でしょう。彼らは日本で安く競り落とした中古ダイヤを自国へ持ち帰り、「研磨(ポリッシュ)」という再加工を施します。これは原石やカット済みの宝石を磨き直し、輝きを蘇らせる技術のことです。この工程を経ることで、石の価値は爆発的に跳ね上がります。

現代の日本では、若者を中心に「高級な宝石を持つよりも、その資金で旅行や体験を楽しみたい」という価値観のシフトが起きています。2014年頃から、遺品整理や生前整理をきっかけに手放されるダイヤが急増しました。持ち主の高齢化という社会背景が、皮肉にも中古市場の活性化を後押ししているのです。

数字が物語る「宝石輸出大国」への変貌

日本の貿易統計を見れば、その勢いは一目瞭然です。ダイヤの輸出額は2015年に過去最高の約85億円を記録し、2018年も約72億円と、10年前の約3倍にまで成長しました。日本はダイヤを産出しない国ですから、この数字のほとんどが、かつて輸入された「中古品」の再輸出によるものです。

一方、輸入額は1990年の約3700億円をピークに激減し、2018年には約940億円にまで落ち込みました。経済の主役が日本から新興国へと移り変わる中、ダイヤの輝きもまた、富が集まる場所へと移動しています。かつての「憧れの象徴」が、形を変えて新興国の富裕層を飾る時代が到来したのです。

私は、この現状を単なる「国富の流出」と捉えるべきではないと考えています。日本で忘れ去られていた宝石が、海外の高度な技術で再び命を吹き込まれるのは、モノを大切にする精神にも通じます。思い出の品が世界を旅し、新たな歴史を刻み始める。それこそが、宝石が持つ永遠の価値の証明ではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました