自動車産業が大きな転換期を迎える中、物流の現場でも驚くべき変化が起きています。日立物流のグループ企業であるバンテックや、車両輸送の大手として知られるゼロが、既存の枠組みを超えたシェアリングサービスへの参入を次々と表明しました。これまでの「運ぶ」という役割に留まらず、資産を有効活用する新たなビジネスモデルを模索し始めています。
バンテックはITベンダーのsoucoと提携し、2019年10月をめどに倉庫の空きスペースを共有するマッチング事業を開始する予定です。これは「シェアリングエコノミー」と呼ばれる考え方に基づいたもので、インターネットを介して個人のスキルや場所などの資産を共有する仕組みを指します。物流のプロがITの力を借りることで、業界の常識が塗り替えられようとしています。
この取り組みはSNS上でも注目を集めており、「トラックの荷台が空いたまま走るのはもったいない」「倉庫の有効活用は環境にも良さそう」といった期待の声が上がっています。特にバンテックでは、これまで6割程度に留まっていたトラックの稼働率を、他社の荷物を混載することで7割以上に引き上げることを目指しています。効率化の徹底は、収益改善の切り札となるでしょう。
一方のゼロは、輸出待ちで眠っている中古車を活用したカーシェア事業に乗り出します。海外への輸出規制などの影響で、1年以上も国内に留まってしまう車両を有効活用するこの試みは、2020年代前半までの事業化を目標に掲げています。車を「所有」する時代から、必要な時だけ「利用」する時代への変化を、物流企業が自らリードしようとする姿勢には、力強い覚悟が感じられます。
CASE時代の到来が物流を劇的に変える理由
なぜ今、これほどまでに物流企業が新しい領域へ踏み出すのでしょうか。その背景には、自動車業界を揺るがす「CASE」と呼ばれる潮流が存在します。これは「つながる(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「共有(Shared)」「電動化(Electric)」の頭文字を取った言葉で、次世代のモビリティ社会を示す重要なキーワードなのです。
特に電動化の影響は甚大で、従来のガソリン車には約3万点もの部品が使われていましたが、電気自動車(EV)に代わるとその数は3分の1程度に減少すると予測されています。運ぶべき部品が激減することは、物流業者にとって経営の根幹を揺るがす死活問題に他なりません。だからこそ、今あるリソースを最大限に活用するシェア事業への転換は、生き残るための必然と言えます。
私自身の見解としても、この動きは物流の枠を超えた「社会インフラの再構築」であると確信しています。2018年の国内新車販売台数が527万台と横ばい傾向にある中で、成長を維持するには、モノを動かす技術に付加価値を乗せるしかありません。無駄を省き、余った空間や車両をシェアする文化が根付くことは、日本の経済をより筋肉質なものに変えていくはずです。
今後は、完成車メーカーだけでなく、こうした物流の現場からも革新的なサービスが生まれていくことでしょう。自社の強みを活かしながら他業種と手を組む柔軟な姿勢こそが、不透明な未来を切り拓く鍵となります。物流業界がテクノロジーと融合し、どのように人々の生活を便利に変えていくのか、その進化から目が離せない状況が続いていきそうです。
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