2019年12月02日、日本の医療界が抱える構造的な課題に鋭く切り込む提言がなされました。キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘研究主幹は、現在の医療提供体制を国際的な視点から分析し、日本が「著しい過剰投資」の状態にあると警鐘を鳴らしています。
具体的な数字を見ると、その格差は一目瞭然でしょう。2017年時点の米国は人口が約3億2600万人に対し、病院数は6210施設でした。一方、人口が半分以下の約1億2600万人である日本は、2019年07月時点で8316施設も存在しているのです。
特に精神科病院の数に注目すると、米国の620施設に対し日本は1054施設と、規模の差を考えれば驚くべき多さと言えます。長年このような体制が維持されてきた背景には、医療財源そのものが過剰に供給されているという根深い問題が潜んでいるのかもしれません。
医療法人の内部留保と「過剰投資」が生む歪み
なぜ、これほどまでに病院が増え続けてしまったのでしょうか。その鍵を握るのが「医療法人」の財務構造です。医療法人の多くは、公的な医療保険制度から支払われる報酬を原資として、潤沢なキャッシュ(現金)を蓄積してきました。
この剰余金が、本来必要とされる以上の豪華な設備や、重複した医療機器への「過剰投資」を招く一因となっているのです。中には、溜まった利益を法人の維持や医療の質向上ではなく、役員報酬や給与の形で不透明に取り崩すケースも見受けられます。
こうした実態に対し、SNS上では「これこそ税金と保険料の無駄遣いではないか」「もっと効率的な配分をしてほしい」といった厳しい批判の声が相次いでいます。国民の負担で成り立つ制度だからこそ、透明性の確保は避けて通れない課題です。
診療報酬改定が問う「地域医療の全体最適」への転換
ここで重要なキーワードとなるのが「診療報酬(しんりょうほうしゅう)」です。これは、医師が行う診察や検査に対して支払われる「公定価格」のことですが、これまでは各病院が個別に利益を最大化するような仕組みになっていました。
しかし、これからの時代に求められるのは、個別の病院の利益ではなく、地域全体の医療ニーズに合わせた「全体最適」の視点でしょう。限られた財源をどこに優先的に配分すべきか、抜本的な見直しが議論の俎上に載せられています。
私個人の意見としては、医療の質を落とさずに無駄を省くには、単なるコストカットではなく、病院間のデジタル連携や機能分担を促す大胆なインセンティブ設計が不可欠だと考えます。聖域なき改革こそが、持続可能な医療を守る唯一の道です。
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