2019年12月04日、パナソニックが自動車の概念を根本から覆そうとしています。自動運転技術の進展に伴い、車内は単なる「移動手段」から、家族や友人とくつろぐ「リビング」へと変貌を遂げようとしているのです。同社はこの未来を実現するため、部門の垣根を超えた強力な横断組織を立ち上げました。
SNSでは「ついに車が部屋になるのか」「パナの家電技術が車に乗るのは楽しみ」といった期待の声が上がっています。ドライバーが運転から解放される未来では、車内での過ごし方が最大の価値になります。そこで同社は、これまで培ってきた家電やシステム開発のノウハウを惜しみなく投入する決断を下したのでしょう。
未来を先取りするコンセプトモデル「スペース・エル」の全貌
パナソニックが提示する「スペース・エル」は、まさに2030年頃の未来を具現化したモデルです。最大の特徴はハンドルが存在しないことで、4つのシートが対面式に配置されています。窓や天井が巨大なディスプレーとなり、移動中にお気に入りの映画を楽しめるなど、エンターテインメント性が極めて高い空間です。
また、この空間は瞬時に「ミニオフィス」へと姿を変えます。座席を回転させれば専用の作業用ディスプレーが立ち上がり、同乗者がいても個別のスペースで仕事に集中できる仕組みです。このように、用途に合わせて空間の役割を柔軟に変化させる「マルチタスクな居住性」こそが、このモデルの真骨頂と言えます。
さらに注目すべきは、家電メーカーならではの繊細な制御技術でしょう。搭載される「センシング(センサーを用いて対象の状態を計測・数値化する技術)」により、乗員の体感温度を瞬時に推測します。一人ひとりに合わせた最適な空調管理を行うなど、住空間で磨かれたホスピタリティが車内へと応用されているのです。
コングロマリットの強みを活かし、逆境からのV字回復へ
現在、パナソニックのオートモーティブ事業は、テスラ向け電池の先行投資や欧州案件の開発負担により、2019年4月〜9月期で227億円の営業赤字を計上しています。厳しい局面にあるからこそ、楠見雄規常務の直轄チームによるスピード感のある開発は、起死回生の一手として大きな意味を持つはずです。
多くの事業を抱える「コングロマリット(複合企業)」は、時として経営効率の低下が懸念されますが、今回のような異分野融合こそが真の武器になります。家電、照明、空調、そして通信技術。これらが一つの車内で統合されたとき、専業メーカーには真似できない圧倒的な付加価値が生まれるのではないでしょうか。
私は、この挑戦がパナソニックのブランド再定義に繋がると確信しています。単なる「モノ売り」から、移動中の「体験価値」を提供する企業へのシフトです。一部のディスプレー技術などは早期の実用化も期待されており、私たちの日常が劇的に変わる日は、案外すぐそこまで来ているのかもしれません。
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