2019年12月04日、イギリスのロンドンで開催されていた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が幕を閉じました。閉幕に際して発表された「ロンドン宣言」では、次世代通信規格である「5G」を含む通信インフラの安全性を徹底して強化する方針が鮮明に打ち出されています。これは、アメリカが安全保障上の重大なリスクとして警戒を強めている、中国の通信機器大手・ファーウェイを強く意識したものと言えるでしょう。
SNS上では「ついにNATOが中国の通信包囲網に動き出した」「私たちのプライバシーや国家機密は本当に守られるのか」といった、期待と不安が入り混じった声が数多く寄せられています。5Gとは、現在の通信よりも劇的に速く、多くの機器を同時に接続できる技術のことですが、その基盤にスパイ活動の懸念がある企業の製品を使うことに対し、国際社会はかつてない緊張感を持って注視しているのです。
NATOのストルテンベルグ事務総長は、記者会見で「私たちは安全でしなやかなシステムにのみ依存することで合意した」と力強く述べました。この「しなやかなシステム」とは、外部からの攻撃や予期せぬトラブルがあっても、すぐに復旧し機能を維持できる強靭なネットワークを指しています。アメリカは、ファーウェイ製品を導入すれば情報漏洩の窓口になりかねないと主張しており、同盟諸国に対しても採用を見送るよう厳しい圧力をかけ続けてきました。
開催国であるイギリスのジョンソン首相も、海外からの投資を拒絶するわけではないとしつつも、安全保障を共にするパートナーに不利益を及ぼすような選択はできないと語っています。これは事実上、ファーウェイへの規制強化を容認する姿勢を示したものでしょう。しかし、現実には欧州各国で同社の製品はすでに広く普及しており、経済的なコストや利便性を考えると、完全に排除することは極めて困難なのが実情と言えます。
ロシアへの警戒と加盟国間に漂う温度差
今回の会議では、通信問題だけでなくロシアに対する防衛姿勢も大きな議論の焦点となりました。ロシアが進める中距離ミサイルの配備が、欧州全体の安全保障にとって深刻なリスクであるとの認識で一致しています。加盟各国は国防支出の増額を掲げ、一致団結して脅威に立ち向かう姿勢を見せてはいますが、その内情を詳しく見ていくと、必ずしも足並みが完璧にそろっているとは言い切れない状況です。
例えば、フランスのマクロン大統領は「ロシアは脅威にもなり得るが、対話すべきパートナーにもなり得る」と発言し、強硬姿勢一辺倒のNATOの在り方に疑問を投げかけました。このように、各国の国益やロシアとの距離感によって温度差が生じている点は、今後の火種になるかもしれません。編集者としての視点で見れば、通信の安全という「目に見えない戦い」において、足並みの乱れこそが最大の脆弱性になりかねないと危惧しています。
デジタルの覇権が国家の命運を握る現代において、5Gインフラの選定は単なるビジネスの枠を超えた「21世紀の防衛線」です。いくら国防費を積み増しても、情報の通り道である通信網が守られていなければ意味をなしません。NATOが今回の宣言をどこまで実効性のあるものにしていけるのか、そして利便性と安全性の狭間で各国がどのような決断を下すのか、私たちはこれからも厳しい視線で推移を見守る必要があるでしょう。
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