京都から興す電池革命!鉄粉で水素を作る次世代「シャトルバッテリー」が描くEVの未来

日本の電池開発の歴史を紐解くと、そこには常に「京都」の息吹が感じられます。遡ること1895年、島津製作所の二代目・島津源蔵氏が日本初の鉛蓄電池を開発したことがすべての始まりでした。源蔵氏は自ら開発した電池を米国製の電気自動車「デトロイト号」に積み込み、京都市内を颯爽と通勤していたといいます。100年以上も前に、現代の私たちが追い求めるEVライフを先取りしていたという事実に、驚きを隠せません。

島津氏の情熱は脈々と受け継がれ、京都は今もなお革新的な蓄電池技術の集積地として輝きを放っています。SNS上でも「京都の底力は計り知れない」「伝統と最新技術が融合する街らしい進化だ」といった期待の声が数多く寄せられており、地域の技術力に対する信頼は絶大です。現在、この地で新たな歴史を刻もうとしているのが、京都府精華町に拠点を置くスタートアップ企業、コネックスシステムズです。

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震災の教訓から生まれた、鉄と水素が織りなす新発想

同社を率いる塚本寿代表取締役は、京都大学から日本電池を経て、米国で医療用リチウムイオン電池の開発に携わった電池のエキスパートです。転機となったのは2011年3月11日の東日本大震災でした。長期化する停電を目の当たりにした塚本氏は、自らの知見を社会に役立てるべく起業を決意したのです。同社が4月に発表した関西電力グループとの提携は、その実力とビジョンが結実した大きな一歩といえるでしょう。

コネックスシステムズが手掛ける「シャトルバッテリー」は、従来の蓄電池とは全く異なる「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」を応用した技術です。SOFCとは、セラミックスを電解質に用いて高温で作動し、高い発電効率を誇る燃料電池の一種を指します。一般的な蓄電池が電気そのものを貯蔵するのに対し、このシステムは「鉄粉」と「水素」の化学反応を利用してエネルギーを蓄えるという、非常に独創的な仕組みを採用しています。

具体的には、水蒸気と鉄が反応して水素が発生し、その水素を燃料電池に供給して発電を行います。このとき、鉄は酸素と結びついて「酸化鉄」へと姿を変えます。充電時には逆に、酸化鉄から酸素を取り除いて元の鉄へと戻します。さらに画期的なのは、わざわざ充電時間を待たずとも、中身の酸化鉄を新しい鉄粉に詰め替えるだけで、即座にフルパワーの発電能力を回復できるという点にあります。

既存のEVの常識を覆す、エネルギーの新たな形

全固体電池や全樹脂電池といった次世代電池の開発競争が激化する中、シャトルバッテリーの独自性は際立っています。他社の技術がリチウムイオン電池の延長線上にあるのに対し、コネックス社の技術は燃料電池の「発電機能」と蓄電池の「蓄能機能」をハイブリッドさせたものです。まずは定置用の非常用電源としての普及を目指していますが、将来的にはEVへの搭載も十分に視野に入っていると塚本氏は力強く語ります。

私自身、この技術は現在のEVが抱える「長い充電時間」という最大の弱点を解消するゲームチェンジャーになると確信しています。ガソリンを給油するように鉄粉を交換するスタイルが確立されれば、長距離ドライブの不安は一気に解消されるでしょう。かつて島津源蔵氏がデトロイト号で夢見た「排ガスのない街」が、京都の最先端技術によって、より完璧な形で実現する日がすぐそこまで来ているのかもしれません。

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