愛媛県松山市に拠点を置くスーパー「フジ」の総菜製造を担うフジデリカ・クオリティが、驚きのプロジェクトを始動させました。自社工場から排出されるキャベツの芯といった「野菜くず」を、なんとエネルギーに変えてしまうバイオマス発電設備を導入したのです。この画期的な取り組みは、2019年12月の稼働を予定しており、地域の未来を照らす新たな光として大きな期待が寄せられています。
今回の設備投資額は約2億4000万円という大規模なもので、中四国地方の民間企業としては初めての試みとなります。バイオマス発電とは、動植物から生まれた生物資源(バイオマス)を燃焼させたりガス化させたりして電気を作る仕組みを指します。SNSでは「捨てられるはずのゴミが電気になるなんて理想的」「地元のスーパーが環境対策に本気で取り組んでいるのは嬉しい」といった、好意的な反響が数多く見受けられます。
年間1550トンの廃棄物をクリーンエネルギーへ転換
これまでは産業廃棄物として処分せざるを得なかった年間1550トンもの食品廃棄物が、このプロジェクトによって100%有効活用されることになります。具体的なプロセスとしては、まず野菜やくずを細かく破砕し、発酵させることでメタンガスを発生させます。そのガスを燃料にして発電機を回すという、無駄のない循環型システムを構築しました。これにより、二酸化炭素の排出量を年間で約460トンも削減できる見込みです。
気になる発電量は年間27万6000キロワット時に達する見通しで、これは一般家庭の約60世帯分が1年間に消費する電力に相当します。2020年1月からは「固定価格買い取り制度(FIT)」を利用し、四国電力へ売電を開始する計画も進んでいます。FITとは、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める価格で一定期間電力会社が買い取ることを約束する制度のことで、事業の安定性を支える重要な枠組みとなっています。
編集者の視点から見れば、単なるコスト削減を超えたブランド戦略としての価値も計り知れません。近年の共働き世帯の増加により「中食」と呼ばれる総菜市場は急速に膨らんでいます。需要が増えれば当然、製造過程で出るゴミも増えますが、それを逆手に取ってエネルギー源に変換する姿勢は、現代の企業が目指すべき究極の「地産地消」の形だと言えるのではないでしょうか。
生産体制の集約と障がい者雇用の促進を同時に実現
さらに注目すべきは、今回の設備導入に合わせて本社の生産体制を大幅に強化した点です。松山市内の本社敷地内へ、サラダの加工場とともに特例子会社であるフジ・ハートデリカの拠点を集約しました。特例子会社とは、障がい者の雇用促進を目的に特別な配慮をして設立された子会社のことです。働く環境を整えつつ、設備の刷新によって加工能力を1割向上させるなど、社会貢献と生産効率を両立させる見事な経営判断が光ります。
生産現場の集約は、物流の効率化だけでなく商品の鮮度維持にも直結するため、私たち消費者の食卓にとっても大きなメリットがあります。2019年11月14日に発表されたこのニュースは、持続可能な社会の実現に向けた象徴的な一歩となるでしょう。環境への優しさと経済活動、そして福祉の融合。フジデリカ・クオリティが切り拓く「ゴミを出さない工場」の挑戦から、今後も目が離せません。
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