物流業界に新たな風が吹き抜けています。物流不動産の大手であるESRケイマンが、2019年11月01日に香港取引所へ株式上場を果たしました。調達額は約16億ドル(約1700億円)にものぼり、2019年の香港市場における最大級の新規株式公開(IPO)として大きな注目を集めています。
今回のIPO(新規株式公開)とは、未上場の企業が初めて一般の投資家に株式を売り出すことを指します。共同創業者兼CEOのスチュアート・ギブソン氏は、アジア市場への特化を明言しました。スマートフォンが人々の生活に浸透し、インターネット通販(EC)が爆発的に普及する中で、最新鋭の物流拠点が求められているのです。
ネット上では「物流施設への投資はもはやインフラ投資と同じくらい手堅いのでは」といった期待の声が多く見られます。当初は2019年06月に上場を予定していましたが、現地の情勢不安により一時見送られた経緯がありました。しかし、今回の成功は市場からの信頼の厚さを物語っており、投資家もこのタイミングを歓迎している様子です。
世界が注目する物流不動産のポテンシャル
ESRは単なる倉庫会社ではありません。香港に拠点を置き、日本、中国、韓国、シンガポールなどで巨大な物流網を構築しています。彼らが管理・所有する資産価値は、200億ドルを超えるというから驚きです。調達した資金の多くは債務の返済に充てられますが、残る3割は新たな施設の開発へと投じられます。
ここで注目すべきは、名だたるグローバル企業が出資している点です。中国のEC大手である京東集団や、世界的な金融グループのゴールドマン・サックスなどが名を連ねています。これまでは住宅やオフィスビルが不動産投資の主役でしたが、現在は「物流不動産」が新たな投資の象徴として輝きを放っていると言えるでしょう。
ギブソン氏が特に期待を寄せるのはインド市場です。すでにオーストラリアやインドにも進出済みですが、未整備なインフラが多い新興国こそ、彼らの先進的なノウハウが最も必要とされる場所なのです。こうした国々ではECの普及スピードに物流が追いついておらず、巨大なビジネスチャンスが眠っています。
日本の三大都市圏は「眠れるお宝市場」である
日本国内に目を向けると、首都圏や名古屋、大阪を中心に18の施設が完成し、さらに8つのプロジェクトが動いています。ここで採用されているのが「マルチテナント」方式です。これは一つの大きな建物に複数の企業が賃貸で入居する形態で、効率的な物流運営を可能にするサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)企業などに最適です。
3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)とは、企業の物流業務を外部の専門業者が一括して請け負う仕組みを指します。ESRの施設は、単なる荷物置き場ではありません。デザイン性に優れたラウンジや託児所を完備しており、働くスタッフが心地よく過ごせる空間作りを徹底しています。これこそが、現代の物流施設に求められる姿でしょう。
かつての倉庫といえば、暗くて重労働なイメージがあったかもしれません。しかし、今はAIやロボット工学を駆使したハイテク産業へと進化を遂げています。日本の既存の倉庫の多くは老朽化しており、最新鋭の施設はまだ全体の1割程度です。少子高齢化は進みますが、三大都市圏の需要は今後も成長し続けると私は確信しています。
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