2019年11月22日現在、日本の物流業界は大きな転換点を迎えています。これまで多くの企業は、物流業務を外部の専門業者に委託する「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)」を活用してきました。しかし、昨今の運賃高騰や深刻な人手不足を背景に、荷主企業が自ら物流拠点を確保し、運営を内製化する動きが加速しているのです。
この劇的な変化の裏には、コスト増を荷主へ転嫁するばかりで、抜本的な解決策を提示できない物流業者の現状があります。SNS上でも「毎年のように値上げを要求されるのは納得がいかない」「委託先の利益だけが確保されているのではないか」といった、荷主側の切実な不満や不信感の声が散見されるようになりました。
経営リスクを自社でコントロールしようとする荷主の動きは、従来の3PLビジネスにとって強い逆風と言えるでしょう。業界最大手である日立物流の中谷康夫社長も、この状況に強い危機感を表明しています。これまではパートやアルバイトを柔軟に活用することで利益を上げてきましたが、労働力不足が深刻化する今、そのビジネスモデルは限界を迎えているのです。
日立物流が挑む「ECスマートウエアハウス」という名の革命
こうした危機的状況を打破するため、日立物流は「プラットフォームビジネス」への大胆な構造転換に乗り出しました。その象徴となるのが、2019年9月に埼玉県春日部市で稼働を開始した「ECスマートウエアハウス」です。この施設は、特定の顧客向けに最適化する従来の手法を捨て、汎用性の高い自動化設備をあらかじめ完備している点が最大の特徴です。
施設内には、商品を自動で集めるピッキングロボットや、箱の組み立てから封かんまでを行う製函・封かん機など、最新鋭のフルライン設備が導入されています。これにより、入庫から出荷までの作業工程を7割以上も自動化することに成功しました。これは、単なる省人化ではなく、テクノロジーによる物流の「規格化」を目指す壮大な挑戦と言えます。
ここで注目すべきは「シェアリング」という考え方です。自動化設備やシステム、そして作業スペースや人員を、複数のEC事業者が使った分だけ支払う「従量課金制」で共同利用します。中小規模の事業者であっても、多額の初期投資をすることなく、大手並みの高度な物流インフラを享受できる仕組みが整えられたのです。
日立物流はまず2000坪の規模で運用を開始し、現場のニーズを精査した上で、関東の第2拠点、さらには関西、九州、中部へと全国展開を計画しています。私個人としては、物流業者が単なる「作業の受け皿」から、高度な技術を提供する「インフラ提供者」へと進化することこそが、今後の日本経済を支える鍵になると確信しています。
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