アメリカ政界が激震に揺れています。ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の弾劾調査は、連日の公聴会を経ていよいよ核心へと迫ってきました。野党・民主党は疑惑の証拠を積み重ねることで、大統領を罷免へと追い込むための「弾劾(だんがい)」、つまり公職にある者の不正を追及して解任するための手続きを加速させています。
しかし、世の中の反応は予想以上に冷静なようです。2019年11月26日に米CNNが発表した世論調査の結果を見ると、弾劾への賛成は50%、反対は43%と、前月からの変化が見られません。公聴会での生々しい証言が飛び交ったにもかかわらず、国民の支持が爆発的に広がるまでには至っていないのが現状と言えるでしょう。
支持層で分かれる評価と無党派層の動向
調査結果を詳しく分析すると、興味深い事実が浮かび上がってきます。共和党支持層の87%がいまだに反対を崩さない一方で、民主党支持層の8割以上は一貫して賛成を表明しています。この「分断」こそが、現在のアメリカが抱える最大の課題なのかもしれません。SNS上でも「これほどの証拠があるのになぜ動かないのか」という焦りや、「政治的な魔女狩りだ」という反発が真っ向から対立しています。
ロイター通信とイプソスが2019年11月26日に公開したデータでは、賛成と反対の差がわずかに拡大したものの、決定的な一撃には欠けています。私は、この膠着状態の原因は「事実の重み」よりも「政治的な忠誠心」が優先されている点にあると考えています。客観的な事実が示されても、それを自分の信じたい色に塗り替えてしまうのは、現代の情報の受け取り方における危うさを象徴しているように感じてなりません。
12月の弾劾訴追へ向けた民主党の勝負所
そんな中、下院司法委員会は2019年12月4日に新たな公聴会を開催することを決定しました。今後は法律学者らを招き、トランプ氏の行為が憲法で定める「重大な罪」に当たるかどうかの法的議論を詰めていくことになります。民主党としては、年内にも弾劾訴追(だんがいそつい)、すなわち裁判にかけるための正式な起訴手続きを完了させたい考えです。
共和党からの造反者をどれだけ引き出せるかが、今後の命運を握っています。SNSでは「今後の証言内容次第で空気が変わる」との期待も寄せられていますが、現状の世論の固さを考えると、その壁は非常に高いと言わざるを得ません。民主党が今後、どのようなプレゼンテーションで「無党派層」や「穏健な共和党員」の心を動かしていくのか、ワシントンの冬は熱い政治戦の舞台となりそうです。
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