【2019年最新レビュー】若き天才チェリストが描く新世界とキース・ジャレットが贈る奇跡の即興演奏

音楽界に新時代の風を吹き込む若き俊英、エドガー・モロー。1994年にフランスで生を受けた彼は、弱冠17歳にしてチャイコフスキー国際コンクールで第2位に輝き、世界中にその名を知らしめました。2019年11月19日にリリースされた最新作では、生誕200年を祝うオッフェンバックと、鬼才グルダという対照的な作曲家の協奏曲に挑んでいます。

オッフェンバックの華麗な旋律と、ジャズやロックを大胆に融合させたグルダの型破りな構成を、彼は驚くほど軽やかに弾きこなします。SNSでは「チェロの概念が変わる爽快感」「まるで楽器が歌っているよう」といった絶賛の声が相次ぎました。多様なジャンルを壁なく受け入れる、現代の若手奏者らしい柔軟さと知性が光る名演と言えるでしょう。

私個人としては、単なる技巧の披露に留まらない彼の「遊び心」に強く惹かれます。クラシックの伝統を重んじつつも、自由奔放に音を操る姿は、まさに今の時代が求めているアーティスト像そのものです。難解に思われがちなグルダの楽曲を、これほどまでに親しみやすく提示した彼の手腕には、並々ならぬ感性の鋭さを感じずにはいられません。

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孤高のピアニストが刻む一瞬の輝き

続いてご紹介するのは、ジャズ界の巨星キース・ジャレットによる渾身のライブ盤です。2016年7月16日にドイツで開催されたミュンヘン公演の模様が、待望の2枚組CDとして登場しました。彼の代名詞である「完全即興」は、一音たりとも予測不能な緊張感に満ちており、聴き手は思わず息を呑むような深遠な音楽体験へと誘われるはずです。

2017年より病気療養のため演奏活動を休止している彼にとって、こうしたライブ音源のリリースは、ファンにとって何物にも代えがたい宝物と言えるでしょう。破綻の瀬戸際で踏みとどまり、そこから切なくも美しいハーモニーを紡ぎ出す感性は、もはや神業の域に達しています。音楽という一期一会の芸術を、私たちはこの盤を通して深く刻むことになります。

手塚治虫の魂を継承するアーティストたち

最後は、手塚治虫氏の不朽の名作『火の鳥』に共鳴した豪華10組のアーティストが集結したコンピレーション・アルバムです。GLIM SPANKYが叫ぶ生への渇望や、森山直太朗氏らの機知に富んだアプローチは、作品の持つ壮大なスケール感を鮮やかに描き出しています。ラップから器楽曲まで、ジャンルを横断した響きは圧巻の一言に尽きます。

「火の鳥」という普遍的なテーマが、2019年の今、新たな音楽の遺伝子(NEW GENE)として再生される過程には、目を見張るものがあります。原作を知る世代はもちろん、未読の若い世代にもこの熱量は届くはずです。音楽が持つ「語り」の力と、物語が持つ「永遠性」が見事にリンクした、記念碑的な一枚であると確信しています。

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