2019年12月07日、イタリア・トリノで開催されたフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル女子フリーにおいて、16歳の新星アリョーナ・コストルナヤ選手が歴史的な快挙を成し遂げました。ショートプログラム(SP)で自ら打ち立てた世界歴代最高得点をさらに塗り替えるという、異次元のパフォーマンスを披露したのです。合計得点が表示された瞬間、普段はクールな彼女が力強くガッツポーズを見せた姿は、世界中のファンの心に深く刻まれました。
今回の優勝は、同じロシア出身で4回転ジャンプを武器にするライバルたちとの熾烈な争いを制した結果です。彼女は「今日は記録を更新したいという強い意志があった」と語っており、その言葉通り、アレクサンドラ・トルソワ選手が保持していた世界最高得点を6.57点も上回る圧巻のスコアを叩き出しました。SNS上では「氷上の美しき破壊神」「次元が違いすぎる」といった驚きと称賛の声が溢れ、トレンドを席巻する盛り上がりを見せています。
彼女の最大の武器は、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を組み込んだ隙のない演技構成です。トリプルアクセルとは、前向きに踏み切るため実質的に3回転半を回る難易度の高いジャンプですが、彼女はこれを軽やかに、かつ高い完成度で成功させました。フリーでは4回転ジャンプを得意とするアンナ・シェルバコワ選手に僅差で1位を譲ったものの、SPでの大きなリードを活かして逃げ切るという、戦略的な強さも光りました。
特筆すべきは、単なる技術力の高さに留まらない「総合力」の高さでしょう。表現力やスケーティング技術を評価する「演技構成点」において、彼女は出場選手の中で唯一70点を超える73.27点という驚異的な評価を獲得しました。ジャンプという「点」の要素だけでなく、プログラム全体の「面」としての美しさでも他を圧倒したのです。アスリートとしての力強さと、芸術家としての繊細さが同居する姿は、まさに新時代の女王と呼ぶにふさわしいものです。
現在、彼女たちは名指導者として知られるエテリ・トゥトベリゼ氏の元で、切磋琢磨しながら技術を磨いています。シニアデビュー1年目にしてここまでの活躍を見せることは、本人にとっても「予想外だった」と驚きを隠せません。しかし、ハイレベルな環境でライバルたちと刺激し合う日々が、彼女を短期間でここまで進化させたのでしょう。4回転ジャンプの時代にあっても、美しさと技術の融合が勝利を掴むことを、彼女は見事に証明してくれました。
編集者としての私見ですが、コストルナヤ選手の強さは「完璧主義」の具現化にあると感じます。4回転という大技に頼り切るのではなく、スピン、ステップ、そして表現力のすべてにおいて妥協しない姿勢が、審判員の心を動かしたのでしょう。2019年12月09日現在のフィギュア界において、彼女が提示した「トータルパッケージ」としての完成度は、今後の女子フィギュアの在り方を定義する重要な転換点になるに違いありません。
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