2019年12月12日、私たちは日本の医療制度における大きな転換点を迎えています。2019年9月26日に厚生労働省が公表したデータにより、全国424の公立・公的病院が「再編の検討が必要」と名指しされました。SNSでは「地元の病院がなくなるのか」という不安の声が広がる一方で、実態を直視した改革を支持する冷静な意見も目立ち、国民の関心の高さが伺えます。
現在、日本の医療現場では「急性期」と呼ばれる、緊急の手術や人工呼吸器管理などを必要とする重症患者向けの病床が過剰になっています。国は2025年までにこの病床を約53万床にする目標を掲げていますが、現時点では約73万床もあり、大きな乖離が生じています。看板だけが「急性期」で、実際には急性期医療をほとんど提供していない病棟が14%も存在するという驚きの実態も明らかになりました。
地域の持続可能性が病院の未来を左右する
今回の改革において最も重要な視点は、病院の存続そのものではなく「地域の持続可能性」です。多くの地域で人口が減少し、医療ニーズが変化する中、医療従事者だけで議論を完結させてはいけません。専門的な知見に寄りすぎると、住民の生活という視点が欠落してしまう恐れがあるからです。今こそ地方自治体と連携し、真に価値のある医療体制を再構築する時でしょう。
データを見ると、再編対象となった病院の救急搬送は1日平均6件程度と少なく、車で20分圏内に別の病院があるケースが9割を超えています。緊急時に住民が求めるのは、中途半端な規模の病院ではなく、症例数が多く質の担保された大規模病院です。中核都市における急性期機能の集約化は、むしろ命を守るための前向きなステップであると私は考えます。
「病人を減らす」ことが病院の新しい役割へ
今後、病院は「病人を待つ場所」から脱却しなければなりません。単に空いたベッドを介護用に転換して補助金を得るような消極的な姿勢では、地域の活力は失われていくでしょう。病院が持つ情報や設備を活用し、他業種と連携して「健康の提供」という新しいビジネスモデルを模索すべきではないでしょうか。
例えば、退院後の栄養管理や食事の宅配を手配したり、保険者と協力して健診受診者に特典を提供したりするなど、住民が健康でいられる仕組み作りへの投資が必要です。病院自らが「病人を減らすこと」に価値を見出すことこそが、真の医療制度改革の本質です。2019年というこの年を、病院が地域の「健康創造拠点」へと生まれ変わる元年として記憶したいものです。
コメント