認知症「完全攻略」への第一歩!東大の観察研究「J-TRC」が挑む新薬開発の最前線

2019年11月29日、超高齢社会を突き進む日本において、もはや他人事ではない「認知症」の克服に向けた巨大プロジェクトが始動しました。東京大学の研究チームが開始した「J-TRC」は、健康な段階から長期にわたって人々の脳の変化を追いかけるという、これまでにない大規模な観察研究です。SNSでは「将来の自分が心配だから貢献したい」「早期発見の光が見えてきた」といった期待の声が数多く寄せられており、国民の関心の高さが伺えます。

認知症とは、脳の萎縮によって記憶力や判断力が低下する病気の総称です。その7割を占めるアルツハイマー病は、アミロイドベータなどのタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞を傷つけることで発症すると考えられています。厚生労働省の推計では、2025年には国内の患者数が730万人に達するとされており、医療や介護にかかる社会的コストは2014年時点で年間14.5兆円という、天文学的な数字にのぼっているのが現状です。

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なぜ「健康な人」を調査するのか?創薬の壁を突破する新戦略

これまで多くの製薬会社が認知症の治療薬開発に挑んできましたが、残念ながらその道のりは極めて険しいものでした。実は、症状が出てから薬を投与しても、すでに破壊された神経細胞を再生させるのは非常に困難なのです。そこで重要になるのが、発症前の「潜伏期間」を捉えること。東大の岩坪威教授らが主導するこの研究は、健康な人約2万人を登録し、3カ月に1度のウェブテストで認知機能の細かな変化をモニタリングします。

この研究の画期的な点は、リスクが高いと判断された人を、最先端の「治験(新薬の承認に向けた臨床試験)」へスムーズに誘導する仕組みにあります。これまでは治験に参加する適切な候補者を探すだけでも膨大な時間と費用がかかっていました。しかし、このJ-TRCというプラットフォームがあれば、より安価で効率的な新薬開発が可能になるでしょう。高額なPET検査(脳内のタンパク質を画像化する特殊な検査)に頼らず、血液検査等で手軽にリスクを判定する技術開発も同時に進んでいます。

予防と共生の両輪で挑む、新しい未来のカタチ

最新の研究では、生活習慣の改善が認知機能の低下を抑えることも明らかになってきました。フィンランドの調査では、食事や運動の習慣を見直したグループは認知機能が維持されやすく、英国の研究チームはリスク要因を減らすことで発症の35%を予防できる可能性を指摘しています。WHO(世界保健機関)も2019年5月に予防ガイドラインを発表し、定期的な運動や禁煙を強く推奨するなど、世界中で「予防」へのシフトが加速しています。

日本政府も2019年6月に発表した大綱で「予防」と「共生」を掲げました。私自身の意見としては、薬の開発を待つだけでなく、私たち一人ひとりが日々の生活習慣を意識し、社会全体で患者さんを支える文化を育むことが、真の解決に繋がると確信しています。科学的根拠に基づいた対策はまだ途上ですが、こうした東大の地道な観察研究が積み重なることで、いつか「認知症は治せる病気だ」と胸を張って言える日が来ることを、編集部一同、切に願っています。

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