【東京医科歯科大学などの共同研究】奥歯と前歯で脳の「司令塔」が違う!咀嚼と脳機能維持の驚くべき関係性に迫る

「かむ」という日常的な動作が、私たちの脳内でどのように制御されているのか、その驚くべきメカニズムが明らかになりました。東京医科歯科大学の森山啓司教授を中心とする研究チームが、国立精神・神経医療研究センター、群馬大学と共同で、物をかみ砕く際に、脳内の二つの異なる運動制御システムが機能していることを解明したのです。この画期的な研究成果は、イギリスの科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に2019年6月24日付で掲載されており、発表直後から、その詳細について大きな関心が寄せられています。

研究では、15名の被験者が参加し、かんだときの脳波が詳細に調べられました。具体的には、被験者にマウスピースを装着して、奥歯、または前歯の間につけられたシリコンをかみしめてもらい、その際の脳波と、実際にどれくらいの力でかんでいるかを示す「かむ力」を、磁気共鳴画像装置(MRI)を用いて同時に測定されました。この実験から、奥歯と前歯、どちらでかむかによって、活性化する脳の部位が大きく変化することが確認されています。

まず、奥歯でしっかりとものをかみしめた場合、運動の命令を出している小脳などの領域が活性化することが分かりました。さらに、このときには、かむ力が強ければ強いほど、脳の活動量も増大するという関係性が示されています。奥歯での咀嚼は、食べ物をすり潰すような力強い動作を制御するエリアを主に動かしていると言えるでしょう。これは、全身のバランスや運動機能の調整役である**小脳(しょうのう)**が、力強い動作を司る司令塔の一つとして機能していることを意味しています。

一方、前歯でかんだときには、奥歯での咀嚼とは異なり、小脳ではなく、より微細な力の制御を担う領域が活性化しました。注目すべき点として、このパターンでは、奥歯での結果とは反対に、かむ力が小さく、繊細になればなるほど、脳の活動量が増加するという結果が得られています。前歯での咀嚼は、例えば食物の硬さを確認したり、量を調整したりするような、より精密な動作を制御していると考えられ、繊細な運動制御のための別の脳領域が重要な役割を担っていることが分かったのです。

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咀嚼と認知機能:失われた歯が持つリスク

この研究結果は、単に「かむ」仕組みを解明しただけに留まりません。歯を失うこと、特に咀嚼機能の低下が、**認知症(にんちしょう)**の危険因子の一つとなる可能性があると指摘されています。認知症とは、脳の機能障害により記憶力や判断力などが低下し、日常生活に支障をきたすようになる状態のことです。かむ動作と脳機能の関係については、まだ未解明な部分が多いのが現状ですが、今回の研究で、奥歯と前歯での咀嚼がそれぞれ異なる脳のエリアを刺激していることが具体的に示されました。

奥歯と前歯で異なる司令塔が働くということは、それぞれの歯をバランスよく使うことが、脳の多様な部位を刺激し、脳全体の機能を維持することにつながる可能性を示唆しています。もし、特定の歯を失ったり、かみ合わせが悪くなったりして、咀嚼のパターンが偏ってしまうと、脳の一部の領域への刺激が減少し、それが長期的に脳機能の維持に影響を与えるかもしれません。この詳細なメカニズムの解明が進むことで、将来的に、歯科医療やリハビリテーションの分野で、認知症をはじめとする脳機能低下の予防法開発へと結びつくことが大いに期待されます。

本研究は、高齢化社会において深刻な問題である認知症予防への新しい道を切り拓く、非常に重要な一歩です。SNS上では「やっぱりしっかりかむことが大事なんだ」「奥歯と前歯でそんなに違いがあるなんて驚き」「予防のために、かみごたえのあるものを意識して食べようと思う」といった、生活習慣を見直すきっかけとする声や、研究への関心の高さを示す反響が多数見受けられます。健康な脳機能を保つためには、歯の健康を維持し、意識的に「よくかむ」習慣を持つことが、私たち自身の未来のために必要不可欠なことであると、改めて感じさせられる成果と言えるでしょう。

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