2019年08月24日、日本の高齢者における健康管理の常識を覆すような驚きの研究成果が発表されました。千葉大学などの研究グループがまとめた調査によると、日本人の場合は痩せている人ほど認知症を発症する危険性が高まるというのです。一般的に「太りすぎは万病の元」と考えられがちですが、こと認知症に関しては標準体型よりもスリムな人の方が注意が必要だという衝撃の結果が出ています。
今回の調査は、一般社団法人「日本老年学的評価研究機構」に集った約40もの大学や研究機関が協力して実施されました。2010年から約6年間にわたり、3696人の高齢者を対象に粘り強い追跡調査を敢行したものです。その期間中に338人が認知症と診断されましたが、そのデータを詳細に分析したところ、体格指数(BMI)が18.5未満の「痩せ型」に分類される女性は、標準体型の人に比べて発症リスクが1.72倍も高いことが判明しました。
このニュースが報じられると、SNS上では「ダイエットを頑張りすぎていたけれど、将来が不安になった」「健康のために痩せようと思っていたのに、何が正解かわからない」といった戸惑いの声が数多く寄せられています。特に欧米では「肥満こそが認知症の引き金になる」という定説が浸透しているため、日本において真逆の結果が出たことは、専門家だけでなく一般市民の間でも大きな関心事となっているようです。
日本特有の体質と筋肉量の減少が鍵を握る
なぜ欧米と日本ではこれほどまでに結果が異なるのでしょうか。山梨大学大学院の横道洋司准教授は、その背景に東アジア人特有の体質が深く関わっている可能性を指摘しています。ここで重要なキーワードとなるのが、血液中の糖分を調節する「インスリン」というホルモンです。欧米人に比べて東アジア人はこの分泌量が元々少ない傾向にあり、たとえ見た目が細くても糖尿病を患いやすいという弱点を持っているのです。
糖尿病は認知症の重大なリスク因子として知られていますが、日本人の場合は「太っていなくても糖尿病になりやすい」という性質が、痩せ型の人の発症率を押し上げていると考えられます。また、身体を支える筋肉が衰えて減少する現象も、脳の健康に悪影響を及ぼしているのかもしれません。筋肉が減ることで活動量が落ち、それが脳への刺激の減少に直結するという負のサイクルが、日本人の体格データには顕著に表れているのでしょう。
編集者としての視点ではありますが、この研究結果は「ただ細ければ良い」という現在の美意識や健康観に一石を投じるものだと感じます。これからの高齢化社会においては、単なる体重減少を目指すのではなく、適切な栄養摂取と適度な運動による「筋肉の維持」こそが、聡明な毎日を守るための最良の防衛策になるはずです。数字上の軽さに一喜一憂せず、骨太で筋肉質な健康美を目指すライフスタイルが、今まさに求められているのではないでしょうか。
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