👶👵市区町村の挑戦!2019年度予算から読み解く「子育て支援・人生100年時代」を見据えた先進自治体の取り組み【認知症・幼保無償化】

2019年度、全国の市区町村の予算編成は、私たちが抱える社会的な課題、特に子育て支援と高齢者福祉に対して、手厚い対応を見せていることが分かりました。日本経済新聞社が実施した調査によれば、対象となった市区の約9割で、社会保障関連の費用、具体的には市民への給付金やサービス提供に使われる扶助費が増加傾向にあり、各自治体が「人にやさしい街づくり」を急いでいる状況が浮かび上がってきます。これは、同年10月から始まる幼児教育・保育の無償化や、長寿化が進む人生100年時代を見据えた重要な施策と言えるでしょう。

この手厚い福祉施策を支えるため、自治体は市民に対して新たな負担を求めたり、あるいは民間企業との連携を強化したりするなど、創意工夫を凝らしています。例えば、全市区町村(792市と東京23区)のうち、比較可能な予算を編成した748市区の一般会計(自治体の主要な活動を賄うための会計)の総額は、前年度比で2.7%増の45兆9,702億円に達しました。特に投資的経費(公共施設やインフラ整備など将来への投資)が4.0%増、そして先に述べた扶助費も3.5%増と、自治体の予算が大きく膨らんでいるのが現状です。これは、2019年度が地方創生の第1期地方版総合戦略の最終年度であることや、翌年の2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えていることも大きく影響していると推測できます。

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👶子育て世代の不安解消へ!独自の「SOSサービス」と「保育士争奪戦」

子育て世帯への支援策は、市区町村独自の工夫が光ります。群馬県高崎市では、2019年4月から、乳幼児がいる家庭を対象とした「子育てSOSサービス」という画期的な取り組みを始めました。これは、保護者からの電話一本で、育児や家事を手伝うヘルパーが原則1時間以内に駆けつけるというものです。利用料金は1時間あたりわずか250円で、利用時間や回数に制限はありません。富岡賢治市長は、このサービスが「子育ての困り事にすぐ対応でき、虐待防止にもつながる」と期待を寄せているそうです。

市では年間1,000件程度の利用を見込んでいましたが、サービス開始からわずか1カ月で129件に達し、「想定以上のペース」だと市保健課はコメントしています。これほどまでに需要が高いということは、それだけ子育て世帯が孤立し、助けを求めている証左と言えるでしょう。この積極的な予算や人員の増強を検討する必要があるほどの反響は、他の自治体も注目すべきモデルケースとなり得ます。

同年10月からの幼保無償化は、すべての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児が対象となり、約300万人が恩恵を受けることになります。しかし、無償化によって子どもを預けたいというニーズが高まることで、自治体にとっては保育所や保育士の確保が喫緊の課題となります。待機児童の増加や保育の質の低下を懸念する声も当然出ています。この対策として、大阪府高槻市のように「高槻子ども未来館」を開館し、「休日・一時預かり保育」や「病児保育」に対応できる施設を整備したり、無償化を先行実施したりする市区も少なくありません。

さらに、優秀な保育士を確保するため、自治体間の「争奪戦」も激化しています。北九州市では市内の保育施設に就職する保育士の家賃を月最大5万円補助する制度を設け、福岡市は保育士の奨学金の返済額の一部を助成するなど、手厚い支援策を打ち出しています。これは、保育士の離職を防ぎ、安定した質の高い保育環境を維持するための自治体にとって不可欠な取り組みで、働く人への投資が今後の子育て支援の鍵を握ると私は考えます。

👵「人生100年時代」の難題、認知症対策の「神戸モデル」

超高齢社会の進展に伴い、認知症への対策も急務です。厚生労働省の推計によると、認知症の高齢者は2015年の520万人から、2025年には約700万人に増加し、高齢者の5人に1人に達する見込みです。政府も2025年までに70代の認知症の人の割合を6年間で6%減らすという数値目標を発表するなど、国を挙げた取り組みが進められています。

そうした中で、兵庫県神戸市がスタートさせたのが、認知症対策の新たな枠組みである「神戸モデル」です。これは、認知症の診断助成と、認知症の人が起こした事故に対する救済制度を組み合わせた、全国初の地域全体で支える取り組みとして注目されています。認知症の人が鉄道事故や火災などで多額の損害賠償を求められたり、被害者が十分な補償を受けられなかったりするケースが増加している現状に対応するものです。

具体的には、65歳以上の市民は自己負担ゼロで認知症の診断が受けられ、認知症と診断された場合は、市が加入する賠償責任保険で保護されます。責任能力がないと判断された場合でも、被害者に対して最大3,000万円を見舞金として支払う画期的な制度です。この財源を賄うため、市民税を1人あたり年間400円増額することになりました。久元喜造市長は、「神戸の取り組みを参考に、国が国民全体を対象にした制度を作るべきだ」と、このモデルの全国展開を強く訴えています。

2019年5月下旬時点で、認知症診断の受け付けは市の想定(年間6,000件)を上回る8,000件を超え、事故救済の申し込みも1,849人に達しました。このうち342人は、行方不明に備えてGPS(全地球測位システム)の利用(月額2,000円)を申し込んでおり、市民のニーズの高さが伺えます。認知症への備えは、もはや他人事ではなく、市民一人ひとりが向き合うべき課題となっていることを示していると言えるでしょう。

💰民間のノウハウと資金を街づくりに活かす「公民連携」の広がり

財政が厳しい自治体が増える中、行政が民間の資金やノウハウを積極的に活用し、社会的な課題を解決する「公民連携」の動きが広がっています。奈良県天理市では、認知症予防策として、民間に委託する「成果連動型支払事業」を導入しました。公文教育研究研究会の「脳の健康教室」で効果が見られた場合、その成果に応じて報酬を支払うという仕組みで、2019年度はさらに教室を増やす予定です。

徳島県美馬市も、大塚製薬やサッカーJ2の徳島ヴォルティスと連携し、市民の健康増進事業を始めるなど、多岐にわたる分野で民間との協働が進んでいます。また、医師不足に悩む兵庫県丹波市では、県立病院と赤十字病院が統合して開院する「県立丹波医療センター」の隣に「市健康センター ミルネ」を併設し、県と市が協力して訪問看護ステーションの業務を引き継ぐなど、行政間での連携と負担の分かち合いも見られます。

さらに、ふるさと納税の新たな使い道として注目されているのが、東京都文京区が2017年から始めた「こども宅食」です。これは、返礼品がなくても寄付を集めるというユニークなプロジェクトで、認定NPO法人フローレンスなどと連携し、生活が苦しい子育て世帯に米やレトルト食品などの食料品を宅配するものです。2019年度には前年度から約6割増の6,000万円の事業費が計上され、佐賀県など全国へ広がりを見せています。

全国815市区の調査では、各市区が最も力を入れる「一押し事業」として、「公共施設・インフラの整備」が最も多く、次いで「子育て支援」「防災・減災・復興」「文化・スポーツ振興」「観光・インバウンド誘致」と続きました。地方創生や東京五輪を追い風にした積極的な投資が行われていることが分かります。人口減少や地域経済の縮小という厳しい現実の中で、限られた財源と人手をいかに効果的に使い、住民の生活を守るセーフティーネットを充実させるか。各地域の模索と挑戦は、これからも続いていくことでしょう。

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