2020年4月から小学校でのプログラミング教育が必修化されるのを前に、教育現場では官民が手を取り合った新たな試みが加速しています。東京都葛飾区や熊本県人吉市といった自治体が、NTTドコモやソニーといった大手企業とタッグを組み、最新のロボット玩具を教材として導入し始めました。民間企業のノウハウを公教育に注入するこの動きは、次世代のIT人材を育成する大きな転換点となるでしょう。
2019年12月02日現在、東京都葛飾区ではNTTドコモおよびタカラトミーと教育連携の協定を締結したことが発表されています。同区が導入を決めたのは、段ボールと精密部品を組み合わせて作るロボット玩具「embot(エムボット)」です。自分たちの手で工作した動物型ロボットを、タブレット端末を使って自由自在に操作できる仕組みが、子供たちの創造性を刺激すると期待されています。
葛飾区は合計で2100台を超えるエムボット関連キットを購入しており、図工や算数、理科といった既存の教科の中で幅広く活用していく方針です。2019年度中には先行して小学校1校で実践的な授業が行われる予定となっています。さらに2020年2月には、指導にあたる教員を対象とした専門的な研修も実施される計画で、自治体側の本気度がうかがえる手厚いサポート体制が整えられました。
一方、熊本県人吉市ではソニー・インタラクティブエンタテインメントの「toio(トイオ)」というロボットを導入しています。2019年03月20日に一般発売されたばかりのこの玩具は、ブロック型のロボットがセンサーによって繊細に動くのが特徴です。2019年9月から市内の全小学校で活用が始まっており、パソコンを使わない「アンプラグド」な手法でもプログラミングの本質を学べる点が、教育関係者から高く評価されています。
ここで言う「プログラミング教育」とは、単にコードを書く技術を覚えることではありません。物事を順序立てて考え、試行錯誤しながら正解を導き出す「論理的思考力(プログラミング的思考)」を養うことが真の目的です。SNS上でも「遊びの延長で学べるのは理想的」「自分が子供の頃に欲しかった」といった好意的な意見が多く見られ、ロボットという「実体」がある教材への期待値は非常に高いと言えます。
しかし、現場を支える先生方の負担も見過ごせません。指導方法に戸惑う声も上がっているため、企業側が現場のフィードバックを吸い上げ、教材をより使いやすく進化させることが不可欠でしょう。単なる「おもちゃ」で終わらせず、子供たちが将来に役立つ実践的な思考を身につけられるのか。学校と企業のパートナーシップが、日本のIT教育の質を左右する重要な鍵となるはずです。
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