2019年12月4日に発生した悲劇から数日が経過しましたが、アフガニスタンで長年人道支援に尽力してきた中村哲医師の殺害事件について、衝撃的な新事実が明らかになりました。中村さんのボディーガードとして共に犠牲となったアフガン人、ジュマグルさんの遺族が、事件の直前に「事業を中止しろ」という不穏な脅迫を受けていたことを証言したのです。
首都カブールで取材に応じた父グルナビさんは、2019年12月12日、最愛の息子が漏らしていた苦悩を語ってくださいました。事件の数日前、休暇で帰宅していたジュマグルさんは、「事業を巡って脅しを受けている。中村先生もその事実を把握している」と打ち明けていたそうです。4年間忠実に務めを果たしてきた彼が、危険を口にしたのはこれが初めてでした。
水利権という「命の奪い合い」が招いた凶弾
アフガニスタン内務省は、今回の卑劣な襲撃の動機について、中村さんが心血を注いできた「用水路建設」に伴う「水利権」が深く関わっているとの分析を示しています。ここで言う水利権とは、特定の水源から水を引き込み、農業や生活のために利用する法的な権利のことですが、水不足が深刻な地域では、この権利が莫大な利益や生存そのものに直結します。
砂漠を緑に変え、多くの人々の命を繋いできた中村さんの高潔な活動が、一方で一部の利権団体の逆鱗に触れてしまった可能性があるという事実は、あまりにも皮肉で言葉を失います。警察は銃器を所持した不審な男たちを拘束しており、受けた脅迫の内容と実行犯との関連性を慎重に解明する方針ですが、真相究明にはまだ時間がかかるでしょう。
SNS上では「銃ではなくクワを持って戦う人をなぜ殺すのか」「アフガンの未来を奪う行為だ」と、深い悲しみと激しい怒りの声が世界中から寄せられています。私個人としても、他者の幸せのために尽くす人が暴力に屈する世の中であってはならないと強く感じます。ジュマグルさんが最期まで中村さんを慕っていたというエピソードこそが、国境を越えた愛の証ではないでしょうか。
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