【埼玉・中1生徒の悲劇】部活動顧問の「厳しい指導」はなぜ起きたか?いじめ・体罰問題の真相解明へ、第三者委員会の調査開始

2019年7月2日、埼玉県さいたま市立南浦和中学校で昨年8月に起きた、当時13歳だった中学1年生の男子生徒の自死(じし)について、衝撃的な新事実が明らかになりました。自死とは、みずから命を絶つことを意味する言葉です。男子生徒が部活動に向かう途中で亡くなった背景には、所属していたバドミントン部の30代の男性顧問による「厳しい指導」が原因ではないかとして、遺族が訴えを起こしていたことが関係者への取材で判明したのです。

この事態を重く見たさいたま市教育委員会は、公平かつ客観的な事実究明のため、第三者委員会(だいさんしゃいいんかい)を設置し、本格的な調査を開始する運びとなりました。第三者委員会とは、学校や教育委員会から独立した立場の専門家(弁護士や医師など)がメンバーとなり、特定の事案について中立的な視点から調査・検証を行う組織のことです。この第三者委員会の初会合は、7月4日に開かれる予定であるとのことで、社会全体がこの問題の行方を見守っています。

亡くなった男子生徒はバドミントン部に所属していましたが、練習についていけずに悩んでいた様子だったと、生徒の母親や市教委は説明しています。そして悲劇は夏休み中に起きてしまいました。自死の前日である昨年8月25日、顧問は母親に対し、生徒が部活動を休みゲームセンターにいたことを電話で伝え、「明日個別に呼んで指導する」と告げたといいます。生徒は翌26日、部活動へ向かうために自宅を出た後、自ら命を絶つという最悪の結果を迎えてしまったのです。

この部活動における顧問の指導実態を探るため、学校が昨年12月に全校生徒に対して行った部活動に関するアンケート調査の結果は、私たちにさらなる懸念を抱かせるものです。なんと、別のバドミントン部員が、顧問から「おまえ、存在する意味あるのか」といった暴言を吐かれたり、胸ぐらを掴まれたりといった体罰(たいばつ)を受けていたことが判明したのです。体罰とは、教師などが教育の名の下に、児童・生徒に対して物理的な苦痛を与える行為を指します。

さらに、「(男子生徒が)圧をかけられていた」という、顧問によるプレッシャーを示唆する回答もありました。また、学校の校長は母親に対して、一度部活を休むと「外周10周という厳しいペナルティーがあった」と説明しており、日常的に過度な指導が行われていた可能性が浮上しています。この一連の情報から、顧問の指導方法が、生徒の精神を追い詰める要因となったのではないかという疑念は強まるばかりです。

顧問自身は学校の聴取に対して、「口調が強かったり、言い方がきつかったりした。至らなかった点は反省している」と答え、指導に問題があった可能性を認めていますが、生徒の自死との因果関係については明確に語られていません。また、この顧問は、この春に別の中学校へ異動しています。指導に問題がある可能性が指摘されながらも異動という形になったことに対し、「本当にこれで良いのか?」という疑問の声も上がることでしょう。

取材に応じた男子生徒の母親は、「顧問から謝罪はなく、学校から詳しい説明もない。事実を知りたい」と、深い悲しみと不信感を滲ませています。市教委の吉田賀一指導2課長も、「指導が自死の要因かどうか確認できなかった。第三者委で調べていただく」と述べるに留まっており、まずは第三者委員会による客観的な調査の結果を待つ状況です。

この悲しい出来事を受けて、SNS上では「部活の顧問の体罰や暴言は昔から根強い問題」「顧問の異動で済ませてはいけない」「生徒が悩んでいたのになぜ学校は気づけなかったのか」といった怒りや嘆き、そして再発防止を求める声が大きく反響しています。また、「外周10周のペナルティーは行き過ぎた指導ではないか」といった、指導のあり方そのものに対する疑問も多く寄せられていました。

一教育メディアの編集者として、私は今回の件に強い憤りと危機感を覚えます。部活動は、生徒が豊かな人間関係を築き、心身を鍛える大切な場であるべきです。しかし、時に「熱意」という名の下で行われる過剰な指導や、権威的な態度が、未来ある子どもの命を奪うことにつながりかねません。今回の件は、すべての学校現場に対し、「指導」と「体罰・いじめ」の境界線について、今一度深く問い直す機会を与えるものだと信じています。

第三者委員会には、事実の徹底的な究明と、再発防止に向けた具体的な提言を強く望みます。そして、学校や教育委員会は、顧問の指導がなぜエスカレートしてしまったのか、学校としての対応に問題はなかったのかを検証し、透明性をもって遺族と社会に対して説明責任を果たすべきでしょう。二度とこのような悲劇が起きないよう、部活動の指導体制の抜本的な見直しが急務であると私は考えます。

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