2012年12月26日に第2次安倍晋三政権が産声を上げてから、早いもので間もなく丸7年という月日が流れようとしています。2006年から2007年にかけての第1次政権時代を含めると、2019年11月には通算在任日数が歴代単独1位に躍り出ました。このまま2020年8月24日まで歩みを止めなければ、連続在任記録でも佐藤栄作氏を抜き去り、憲政史上に類を見ない「超長期政権」として金字塔を打ち立てることになります。
一方で、足元に目を向ければ「桜を見る会」を巡る騒動や、閣僚による不用意な発言が相次いでいるのも事実です。こうした状況に対し、世間では「長期政権ゆえの緩みや慢心ではないか」と厳しい視線を送る声も少なくありません。しかし、驚くべきは支持率の底堅さです。2019年11月に実施された日本経済新聞社の世論調査によると、現政権の仕事ぶりを「評価する」との回答が55%に達しており、依然として国民の過半数が信頼を寄せている様子がうかがえます。
もしも日本のリーダーに「4年1期」の壁があったなら
ここで一つ、興味深い仮定を立ててみましょう。もし安倍首相がアメリカの大統領だったとしたら、現在の景色はどう映るでしょうか。アメリカでは「1期4年、最大2期8年まで」という厳格な任期制限が設けられています。このルールを当てはめれば、就任7年を迎えた現在はまさに2期目の最終盤です。本来であれば、次期大統領選のキャンペーンが過熱し、現職の影響力が低下する「レームダック(死に体)」と呼ばれる状態に陥っていてもおかしくありません。
レームダックとは、直訳すれば「足の不自由なアヒル」を指し、任期満了を目前にして政治的な求心力を失った指導者を揶揄する言葉です。もし日本が大統領制であれば、すでに与野党から「ポスト安倍」を狙う有力候補が次々と名乗りを上げ、独自の政策を競い合っているはずでしょう。ところが現実の永田町を見渡せば、後継者争いが白熱するどころか、自民党内からは安倍総裁の「4選」を期待する声すら漏れ聞こえてくるという、特異な状況にあります。
こうした日米の差は、国政選挙の仕組みにも色濃く表れています。アメリカでは4年に1回の大統領選と、その中間に行われる議会選挙が基本であり、1人の指導者が経験する国政選挙は最大でも4回程度です。対して日本では、首相が衆議院の解散時期を戦略的に選べるため、選挙の頻度が高くなります。安倍政権はこれまで国政選挙で6連勝という驚異的な記録を打ち立ててきましたが、この勝利の積み重ねこそが、党内での圧倒的な求心力の源泉となっているのです。
安定を望む民意と、未来へ繋ぐ政治のあり方
SNS上では「これほど長く続くのは、他に選択肢がないからだ」といった消去法的な支持を指摘する意見や、「政治の停滞よりは安定がマシ」というリアリズムに基づいた書き込みが多く見受けられます。過去を振り返れば、小泉純一郎氏や中曽根康弘氏といった長期政権の後は、いずれも短命政権が相次ぎ、政治の混迷を招いた苦い記憶があります。国民が抱く「あの不安定な時代には戻りたくない」という切実な願いが、現在の高い支持率を支える防波堤となっているのかもしれません。
しかし、特定のリーダーの資質だけに頼る安定は、いずれ限界を迎えます。本来あるべき姿は、政治家が一定の期間腰を据えて政策を遂行できる環境を整え、国民もまた、そのビジョンを厳格に吟味してリーダーを選ぶというサイクルが確立されることではないでしょうか。単なる「任期の長さ」を競うのではなく、どのような仕組みがあれば日本に真の政治的成熟をもたらすことができるのか。私たちは今、その重要な分岐点に立っていると言っても過言ではありません。
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