ニューヨークのウォール街に、冷ややかな緊張感が走り抜けています。2019年12月03日のダウ工業株30種平均は、前日に引き続き大幅な値下がりを記録しました。わずか2日間で下落幅は549ドルに達しており、投資家の間では「昨年の悪夢が再びやってくるのではないか」という警戒感が急速に高まっています。
市場の楽観ムードを打ち消したのは、トランプ米大統領の驚くべき発言でした。訪問先のロンドンで記者団に対し、中国との貿易協議について「来年の大統領選挙まで待つ方がいいかもしれない」と合意の先送りを公言したのです。この強気な姿勢を受け、米中歩み寄りを期待して買い支えていた勢いは、一気にしぼんでしまいました。
SNS上でも「クリスマスプレゼントは株安か」「トランプ砲の破壊力が凄まじい」といった嘆きの声が溢れています。これまで史上最高値を更新し続けてきた原動力は、あくまで「交渉進展への期待」という脆い地盤の上に立っていたことが浮き彫りになりました。期待が裏切られた時の反動は、私たちが想像する以上に激しいものになるでしょう。
迫る制裁関税の期限と市場の過熱感
現在、投資家が最も注視しているのは2019年12月15日の期限です。この日には、ほぼすべての中国製品を対象とした制裁関税「第4弾」の発動が控えています。ロス商務長官も「適切な合意ができなければ、関税を続けることに躊躇はない」と語っており、中国側の出方を強くけん制する構えを崩していません。
ここで注目したい専門用語が「PER(株価収益率)」です。これは株価が利益の何倍まで買われているかを示す指標ですが、現在は約17倍台と過去10年の上限に近い水準にあります。つまり、企業の稼ぐ力に対して今の株価は「割高」であり、少しのネガティブなニュースでも暴落しやすい、いわばパンパンに膨らんだ風船のような状態なのです。
トランプ大統領自身は、足元の下げを「ささいなこと」と一蹴しています。しかし、12月は休暇シーズンで取引量が減るため、小さな売り注文でも価格が大きく跳ねたり沈んだりする「板が薄い」状態になりがちです。昨年の12月も1カ月で9%近く下落した苦い記憶があるだけに、安易な押し目買いは禁物だと言わざるを得ません。
個人的な見解を述べれば、トランプ大統領の強気は一種の交渉術である可能性が高いものの、実体経済へのダメージを軽視しすぎている節があります。株価が選挙の生命線である以上、どこかで妥協点を探るはずですが、その「振り回されるコスト」を支払わされるのは常に市場参加者です。今は慎重に推移を見守るべき時期でしょう。
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