2019年もいよいよ締めくくりの季節を迎え、日本経済新聞社が「日経MJヒット商品番付」を2019年12月4日に発表しました。今年の顔として東の横綱に君臨したのは、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ「ラグビーワールドカップ(W杯)」です。前回大会での奇跡から4年、日本代表が史上初のベスト8入りを果たす姿は、多くの人々に勇気を与えたことでしょう。
2019年9月20日から11月2日にかけて開催されたこの大会は、のべ170万人を超える観客を動員する異例の事態となりました。格上の強豪アイルランドを撃破し、1次リーグを全勝で突破する快進撃は、全国に「にわかファン」を急増させています。テレビ視聴率も試合を追うごとに上昇し、レプリカジャージーが完売するなど、社会現象と呼べる盛り上がりを見せました。
SNS上では「ラグビーを初めて見たけれど、選手たちの自己犠牲の精神に感動した」「ワンチームという言葉が胸に刺さる」といった熱い投稿が溢れています。ラグビーというスポーツが持つ誠実さと、着実に実力を積み上げてきた日本代表の努力が、改元という新時代の幕開けに見事に合致した結果といえるでしょう。
キャッシュレスと消費増税がもたらした生活の劇的変化
西の横綱には、私たちの生活を一変させた「キャッシュレス」が選出されました。2019年10月の消費増税に伴い、政府が主導したポイント還元事業が追い風となり、スマートフォン決済が爆発的に普及しています。特に「PayPay(ペイペイ)」などが展開した大規模な還元キャンペーンは、現金主義が根強かった日本市場に大きな風穴を開けました。
専門用語として「キャッシュレス決済」とは、紙幣や硬貨を使わずにクレジットカードやスマホアプリで支払う仕組みを指します。これと並行して注目を集めたのが、東の小結に選ばれた「ウーバーイーツ」です。これは飲食店に代わって配達員が料理を届ける「デリバリー代行サービス」であり、持ち帰りに適用される「軽減税率」の恩恵もヒットを後押ししました。
消費増税という大きな家計の節目において、賢く節約しながら利便性を享受する消費者のしたたかな姿勢が伺えます。私自身、こうしたデジタルシフトは単なる流行ではなく、日本の生産性向上に向けた不可避な進化だと感じています。還元合戦が落ち着いた後、いかにこの利便性を習慣として定着させるかが、今後のサービスの真価を問う鍵となるはずです。
タピオカブームとドラクエウォークに見る体験型消費
街中を見渡せば、西の大関「タピオカ」の勢いを感じない日はありません。第3次ブームとされる今回は、2019年1月から10月までの輸入量が前年の約5倍に迫る勢いを見せました。SNS映えするビジュアルと、小腹を満たせる満足感が若者を中心に支持されています。行列に並ぶこと自体を楽しむ「体験型」の流行が、経済を力強く牽引しています。
また、ゲーム業界からは西の関脇として「ドラゴンクエストウォーク」が旋風を巻き起こしました。これはスマホのGPS機能を利用した「位置情報ゲーム」と呼ばれるジャンルで、現実の世界を歩きながら冒険を楽しむものです。2019年9月の配信開始からわずか2カ月で1000万ダウンロードを突破する異例のヒットを記録しました。
日常の移動を冒険に変えるこのアプリは、健康意識の高まりとも相性が良く、幅広い世代を取り込んでいます。ラグビー、キャッシュレス、そしてタピオカ。2019年のヒット商品は、単に「物を買う」だけでなく、その先の「体験」や「社会との繋がり」を重視する傾向がより鮮明になった1年であったと、編集部では分析しています。
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