私たちの身近な自然に潜む小さな脅威が、今まさに警鐘を鳴らしています。国立感染症研究所は2019年12月17日、マダニがウイルスを運ぶことで発症する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の年間感染者数が、初めて100名の大台に乗ったことを明らかにしました。これまでの最多記録であった2017年の90人を大きく上回り、過去最悪のペースで被害が拡大している状況です。
SFTSは2009年頃に中国で確認され始めた比較的新しい病気で、日本では2012年秋に山口県で初めて死亡例が報告されました。それ以来、感染の波は着実に広がりを見せています。SNS上でも「ただの虫刺されと侮れない」「冬でも油断できないのか」といった不安の声が相次いでおり、市民の関心はかつてないほど高まっているといえるでしょう。
致死率は約14%!特効薬のない恐ろしい実態とは
この病気の恐ろしさは、何といってもその毒性の強さにあります。2013年から2019年11月末までの統計によりますと、累計患者492人のうち約14%にあたる69人が命を落としています。主な症状としては、急激な発熱や全身の倦怠感、さらに下痢や腹痛といった消化器症状が挙げられます。「重症熱性血小板減少症候群」という名前の通り、血液を固める成分である血小板が急減し、重症化を招くのです。
残念なことに、現時点では確立されたワクチンや有効な治療薬が存在しません。現在は国内で治療薬の臨床試験、いわゆる「治験(人間での安全性や有効性を確かめるテスト)」が始まったばかりの段階にあります。医療機関による懸命な対応が続いていますが、私たち一人ひとりが「かからないための工夫」を徹底することが、現状では最大の防御策となります。
ペットからの二次感染に注意!広がる流行地域
今回の発表で特に注目すべきは、流行地域の拡大です。2019年は山口県の11名を筆頭に、徳島県など西日本を中心に18都県から報告がありました。驚くべきことに、これまで発生が少なかった東京都でも感染が確認されており、もはや特定の地域だけの問題ではなくなっています。マダニは森林や草むらに生息しており、レジャーだけでなく日常の散歩道にも潜んでいる可能性があります。
さらに見過ごせないのが、愛するペットを介した感染ルートです。マダニに噛まれたネコやイヌから飼い主へウイルスが伝播する事例も報告されています。編集者の視点から申し上げれば、アウトドアを楽しむ方だけでなく、ペットを飼っているすべての方々が当事者意識を持つべき局面に来ています。散歩後のブラッシングや、肌を露出しない服装の徹底が、大切な家族を守ることにつながるでしょう。
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