激辛ブームが後押し!中国の高級蒸留酒「白酒」がカクテルで進化する2019年の最新トレンド

今、日本のバーシーンに新しい風が吹き抜けています。その主役は、中国を代表する蒸留酒である「白酒(パイチュウ)」です。これまで白酒といえば、アルコール度数が非常に高く、その独特すぎる香りの強さから「通好みの極み」とされてきました。しかし2019年現在、この個性を逆手に取ったお洒落なカクテルとして提供する飲食店が急増し、感度の高い層を中心に大きな注目を集めているのです。

東京・新宿のオーセンティックバー「ジェレマイア」では、2018年末のオープン時から白酒をメニューに取り入れています。常連客の間では、レモンを絞った爽快な一杯や、意外な組み合わせであるチョコミントを合わせたスイーツ感覚のカクテルが、特に女性客から支持を得ているようです。SNSでも「フルーティーな香りが癖になる」「新しいお酒の体験」といったポジティブな投稿が散見され、その認知度は着実に高まっています。

そもそも白酒とは、一体どのようなお酒なのでしょうか。日本で馴染み深い中国酒といえば、米を原料とする茶褐色の「紹興酒」が有名ですが、白酒は「高粱(コーリャン)」という穀物を主な原料とする、無色透明の蒸留酒です。蒸留酒とは、醸造した液体を加熱してアルコールを濃縮させる製法のことで、ウオッカやテキーラと同じ仲間と言えます。白酒のアルコール度数は50度前後と極めて高く、喉を通る瞬間の鮮烈な刺激が大きな特徴です。

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歴史と現代のニーズが交差する白酒の魅力

白酒の歴史は古く、1271年から1368年まで続いた「元」の時代に、中央アジアから伝わったという説が有力です。それ以来、庶民の日常から貴族の宴席まで、中国全土で愛される「国酒」としての地位を確立しました。1972年の日中国交正常化に際し、田中角栄元首相が訪中した際の晩餐会で、最高級品の「茅台(マオタイ)酒」が振る舞われたエピソードは、このお酒の格の高さを物語る有名な歴史的一幕です。

かつての日本市場では、訪日外国人による「偽物のない日本で本物を買いたい」というインバウンド需要が中心でした。しかし、最近ではその流れに変化が生じています。酒販大手の「やまや」では、2018年度に白酒の取り扱い店舗を前年度の約6倍にあたる約170店にまで拡大しました。クラフトジンやウオッカなど、香りに特徴のあるスピリッツが世界的に流行している背景もあり、白酒の個性的な芳香に商機を見出す動きが加速しています。

さらに、昨今の「激辛ブーム」も強力な追い風となっています。2019年04月に開催された「四川フェス」には、なんと10万人もの人々が詰めかけました。白酒の生産地として名高い四川省の料理は、辛味とコクが強烈です。四川フェス実行委員長の中川正道氏が指摘するように、白酒の持つ力強い香りは、スパイスの効いた四川料理と見事な調和を見せます。料理のパンチに負けない白酒の存在感は、辛いもの好きの心を掴んで離しません。

私自身の見解を述べさせていただくなら、白酒は単なる「強い酒」の枠を超え、今の日本人が求める「物語性」と「未体験の刺激」を完璧に備えたコンテンツだと感じます。伝統的なストレートという飲み方にこだわらず、カクテルやハイボールとして門戸を広げた戦略は、多様化する現代の飲酒習慣に非常にマッチしています。日常に少しの刺激と異国情緒を取り入れたいなら、白酒という選択肢は最良のスパイスになるに違いありません。

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