2019年6月5日、日本の通信市場に大きな変革をもたらすであろうニュースが飛び込んできました。新規参入の楽天と、老舗IT大手であるNECが、次世代の高速通信規格である「5G」の基地局整備において、強力な共同戦線を敷くことを発表したのです。このパートナーシップの最大の注目点は、従来の専用機器に大きく依存していた基地局の在り方を根本から変える、「クラウド技術」を駆使した革新的なネットワークの構築を目指している点でしょう。両社は、この技術を導入することで、2024年度末までに全国で約1万6,000カ所もの基地局を整備する壮大な計画を掲げています。
楽天が持つ強みは、汎用的なサーバーにソフトウェアを追加するだけで、通信網に必要な多岐にわたる機能を持たせるというクラウド技術です。これは、特定の機能のために高価な専用機器を導入する必要性を大幅に減らし、結果として通信網全体の構築コストを大きく圧縮できるメリットを生み出します。さらに、機能の更新や通信規格の変更にも、ソフトウェアをアップデートするだけで柔軟に対応できるため、将来的な拡張性や維持管理の面でも大きな優位性があるといえるでしょう。楽天の三木谷浩史社長が「後発参入のメリットを最大限に活用できる」と述べているように、この技術は既存の通信事業者とは一線を画す、新しい形のネットワークインフラを実現する鍵となるに違いありません。
一方のNECは、通信インフラ分野で培ってきた小型化や軽量化の技術を最大限に活かし、楽天のクラウドネットワークに対応した高性能な無線機を開発する役割を担います。NECの河村厚男執行役員常務は、この取り組みが「(クラウドを使った)世界初のネットワークの構築に貢献する」と、その先進性を強調されています。この楽天とNECの連携は、技術力のある日本の企業が、世界的な通信インフラ市場で主導権を握るための試金石になると私は期待しています。特に、汎用技術の活用は、サプライチェーンにおける特定のベンダーへの過度な依存を避ける上でも非常に合理的であり、楽天のタレック・アミン副社長執行役員が「日本国内で、独自にアンテナを開発・製造できるようになる」と力強く語っている点は、地政学的なリスクが高まる現代において、非常に意義深いことではないでしょうか。
世界市場の牙城に挑む「日の丸連合」の挑戦
なぜ、この「楽天・NEC連合」の挑戦がこれほどまでに注目を集めるのでしょうか。その背景には、世界の通信基地局市場における、日本勢の厳しい現状があります。調査会社の英IHSマークイットのデータによれば、世界の通信基地局市場のシェアは、中国の華為技術(ファーウェイ)、スウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアという欧米・中国の3大ベンダーによって、実に8割もの巨大なシェアが占められています。それに対して、NECや富士通といった日本企業を合わせたシェアは、わずか5パーセント以下に留まっているのです。この圧倒的な差を前に、楽天とNECが国内で築く革新的な「オープンでクラウドネイティブな5Gネットワーク」は、市場の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。
また、米中貿易戦争の影響で、5G基地局整備において先行しているファーウェイ製品の調達に対するリスクが国際的に高まっている状況も、両社にとっては大きな追い風となるでしょう。セキュリティリスクを懸念する声が高まる中で、日本の企業が独自に開発・製造する信頼性の高い通信技術は、新興国をはじめとする海外市場での大きな需要が見込まれます。両社は、日本国内での5Gサービスが成功を収めることを足がかりとして、その後、通信網の整備がこれから進む新興国などの海外市場を積極的に開拓していく戦略を視野に入れています。この新しい「日の丸連合」が、既存の巨大な通信ベンダーの牙城を崩し、どこまで市場を広げられるかは、まさに国内でのサービスが順調に軌道に乗るかどうかにかかっているといえるでしょう。
このニュースに対するSNSでの反響も、非常に熱いものがあります。多くのユーザーは、「新しい通信の形に期待できる」「国産技術で世界に挑むのは応援したい」といった好意的な意見を寄せています。特に、クラウドコンピューティング(インターネット経由で、必要な時に必要なだけコンピューターリソースを利用できる仕組み)を全面的に活用することで、従来の高コスト体質から脱却しようとする楽天の姿勢を評価する声が目立ちました。この楽天とNECによる「オープンRAN」の実現に向けた取り組みは、世界の通信インフラ市場のあり方を根本から変える、まさに「5G革命」の狼煙となるでしょう。日本発の革新的なネットワークが、世界標準となり、市場に新たな競争をもたらすことを強く望んでいます。
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