私たちの生活に欠かせない「命の水」ですが、蛇口をひねれば当たり前に出てくるこの資源の価格が、今まさに大きな転換点を迎えています。2019年10月19日現在、将来的な水道料金の大幅な値上げを懸念する声が各地で上がっており、特に地方自治体においては深刻な試算が出されていることをご存知でしょうか。
大阪府が公表しているデータによれば、千早赤阪村では2045年度の料金が2016年度と比較して約2.4倍に跳ね上がると予測されています。同様に能勢町でも約1.6倍という家計を圧迫しかねない数字が並んでいる一方で、大阪市のような大都市圏では据え置きが見込まれるなど、地域によって天国と地獄ほどの差が生じているのが現状です。
SNS上では「住む場所によってこれほどコストが変わるのは不公平だ」という嘆きや、「将来世代への負担が重すぎる」といった不安の声が数多く寄せられています。この料金格差が生まれる最大の要因は、実は私たちが暮らす地域の「人口密度」に深く関わっていると専門家は指摘しています。
なぜ地域で差が出るのか?水道事業を支えるコストの仕組み
水道事業の運営は各市町村が担っていますが、その収支構造を理解するための鍵となるのが「1人当たりの負担額」という考え方です。大阪府環境衛生課の木村直昭課長によれば、人口が密集している都市部では、1本の水道管を多くの世帯で共有できるため、維持管理のコストを効率的に分散させることが可能になります。
それに対して、広大な土地に住居が点在する地域では、たとえ利用者が少なくても長い距離の水道管を整備し、メンテナンスし続けなければなりません。ここで言う「メンテナンス」とは、古くなった管の交換や浄水施設の修繕を指しますが、これらの莫大な費用を利用者全員で出し合うため、人口が少ないほど1人が支払う月額料金は高くなってしまうのです。
さらに、かつての住宅開発で新設されたインフラの負債が上乗せされているケースも、地方の料金を押し上げる一因となっています。2017年度の月平均料金を比較すると、大阪市の2,073円に対し、能勢町は4,806円と、すでに2倍以上の開きが出ており、格差は今後さらに拡大する情勢でしょう。
広域連携と法改正が鍵を握る!持続可能な水インフラへの挑戦
人口減少により水の需要が減る一方で、高度経済成長期に作られた施設の老朽化対策には巨額の資金が必要です。この危機を乗り越えるため、自治体の枠組みを超えた「水道事業の広域化」という新しい動きが加速しています。これは隣接する自治体が手を取り合い、施設を共同利用することでコストを削減する画期的な取り組みです。
実際に2018年4月には、香川県が県内16市町の事業を統合し、日本で初めての「1県1水道体制」を確立させました。また、2018年12月に成立した改正水道法では、こうした広域化の促進に加え、民間企業のノウハウを活用する「官民連携」の強化も柱として据えられており、抜本的な改革が進められています。
編集者の視点から言えば、水道は単なる公共料金ではなく、その土地の「居住コスト」を左右する重要な指標へと変貌しつつあります。安い料金を求めて都市部へ人口が流出すれば、地方の負担がさらに増えるという悪循環を断ち切るためにも、広域化のような痛みを伴う改革は避けられない選択肢だと言えるでしょう。
私たちは今、誰もが平等に安全な水を使える時代をどう守っていくのか、真剣に向き合うべき時が来ています。自治体の努力に任せるだけでなく、国全体でこのインフラ危機を共有し、テクノロジーの活用を含めた新しい供給モデルを模索していくことが、未来の世代に対する私たちの責任ではないでしょうか。
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