思いがけない妊娠や経済的な困窮、あるいは家庭内での孤独に直面し、一人で誰にも相談できずに悩み続けている女性たちがいます。2019年12月17日、神奈川県横須賀市はこうした「特定妊婦」と呼ばれる方々を救うべく、全国的にも珍しい画期的な支援制度を導入することを発表しました。
「特定妊婦」とは、経済的な困窮や若年妊娠、DV(ドメスティックバイオレンス)被害といった、出産前後の養育において特に支援を必要とする妊婦さんを指す言葉です。横須賀市によれば、市内では年間50人前後がこの対象となっており、中には出産直前まで一度も医療機関を受診できない、いわゆる「未受診妊婦」の方も数名存在しています。
今回の制度で最も注目すべき点は、医療機関での検査費用を市が公費で全額負担する仕組みを整えたことです。通常、初回の妊娠判定や感染症検査などにはおよそ2万円前後の費用がかかります。この経済的なハードルが、受診をためらわせる大きな要因となっていました。これを取り除くことで、早期のケアに繋げることが期待されています。
保健師が同行する温かなサポート体制
単に金銭的な支援を行うだけではなく、心のケアを重視している点も見逃せません。支援を希望する方が市役所を訪れたり、あるいは保健師が訪問相談を行ったりした際、簡易検査で陽性反応が出た場合には、保健師が医療機関への受診に付き添ってくれるのです。
SNS上では、この取り組みに対して「素晴らしい決断」「金銭面で諦めてしまう人が救われるはず」といった称賛の声が数多く上がっています。一方で、こうした悩みを抱える方々にいかに情報を届けるかが課題であるとの指摘もあり、行政の積極的なアウトリーチ(現場に赴く活動)の重要性が改めて浮き彫りになりました。
私自身の見解としても、予期せぬ妊娠による孤立は母親だけでなく、生まれてくる赤ちゃんの命に関わる重大な社会課題だと確信しています。2019年12月18日現在、神奈川県内で初めてのこの試みは、行政が「困っている人に自ら手を差し伸べる」という姿勢を示す象徴的な一歩となるでしょう。
横須賀市は今後、2020年に向けて市内の商業施設や公共施設にポスターを掲出するなど、周知活動を本格化させる方針です。一人でも多くの女性が「自分は一人ではない」と感じられる社会の構築に向けて、この温かな支援の輪が全国へと広がっていくことを切に願ってやみません。
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